第5話

文字数 576文字

呂律

芸術家になりたかった、品行方正は愚者でも
秀でたものが一つあれば認められ、
薄皮一枚しか知らぬ他人に慕われ
しまいには茶菓子の表紙になる。

鋭利なものがあれば人はなんでも出来る、
これは世迷言では無い。
しかし、私は才覚ではなく、包丁を向けないと人に頷き一つもさせられない何も無い者だ。

そんな私もよく人に褒められることがある。
覚えが早い事だ、大抵のことは一度
複雑ならば三度、人間関係は….二度と修復できないほど苦手だが、物事に対しては覚えが良かった。
そして私は勘違いをしていた誰にでもあることだ自分をよりいい方に勘違いすることなど、
ただ勘違いで払った代償は取り戻さない。
私は才覚を、己を買い被り怠惰を極めた
そしていざ飛び込んだところ私は私自身が
臆病で腰抜けかと思い知ることになった。

まぁこれを齢21で知れたことが私の中での功績の1つだろう。
敗者だ賞賛しろ。

とは言え諦めの悪さのもあり、サイコロの出目を追っている私もいる。

ただただ結果が物をなしている。

芸術家とは0を1にする能力があり、勤勉な者達が1を10にするが、私はただ1を汚した
物をひけらかし、決して2へ進める事なく、
理解されないと苦悩する自分自身に浸っていただけの愚か者だったのだ。

景色が変わったんです。
時間がそうさせたんです。
無かった物があるです。
聞きたくないのが聞こえるんです。
返してください無知を。
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