第2話 プラットフォームで恋焦がれて

文字数 973文字

結愛は高校を卒業して、大学へ通うために静岡から東京へ春から上京してきた。



一人でマンションを借りて暮らしていた。松陰神社前駅が最寄り駅で、世田谷線に乗り、三軒茶屋まででて、東急田園都市線に乗り換えて、、渋谷まで行き、山手線で鶯谷駅で下車し、徒歩10分くらいで大学へ通っていた。



上野駅で降りると、上野国立博物館や上野動物園に行く客の列で、歩道を歩いても、なかなか早く進めないから、鶯谷駅でいつも下車している。



今日も渋谷駅のプラットホームは、人に溢れていた。大学も4年目になると、毎日通うこの通学路も慣れ、まるでこれからもずっとここ東京で、暮らしていく様な錯覚を覚えるほど、我が街となり、街に結愛は馴染んでいた。



来年からは地元に戻り、地元で有名なデザイン会社『From here』 に就職が決まっていた。大学を主席で卒業する予定で、未来のトップデザイナーと、言われ、在学中の現在も、ブランドメーカーからデザインのオファーなどが来ていて、結愛のデザインは新時代の象徴だと評され、頭角を見せていた。



結愛は、昔から自分の美術センスと技術には、自信があり、描いていた夢は、実現してきた、順調に人生は進んでいる。順調すぎて、、怖いくらい、、、世間が私の存在を認めてくれている。






だけど、、、




祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 娑羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす
ぎおんしょうじゃのかねのこえ しょぎょうむじょうのひびきあり しゃらそうじゅのはなのいろ じょうしゃひっすいのことわりをあらわす



祇園精舎の鐘の音には この世のすべての現象は絶えず変化していくものだという響きがある。沙羅双樹の花の色は どんなに勢いが盛んな者も必ず衰えるものであるという道理をあらわしている。








いつか私も






この勢いがなくなり、
人気も落ち、
衰えた時、





自分を着飾っている装飾したものが
取れる時が来ても
ありのままの自分を心から愛してくれる人






そんな運命な人と出会いたいと思っていた










渋谷駅にいる人混みの中に立ち尽くし









これだけ多くの人がいても、私の運命の人はこの中にはいないのだろう。どこにいるのだろう。




さっき すれ違う時に肘が触れたあの男の人が、運命の人かもしれない







なんてふざけ考えて、
結愛は一人心の中で笑った。







頬や鼻に冷たい空気が吹き付ける 卒業目の前の12月上旬のことでした。








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