02
文字数 1,580文字
もうろうとした意識のまま身体を起こすと、額に載せられていたタオルがずり落ちる。
見覚えのない和室に布団が敷かれていて、俺はそこに寝かされていた。
座布団に正座をした女の子がそう教えてくれた。
黒髪を肩にそって揃え、巫女服を着ている。神社の関係者なのかな。
落ち着いた口調だけど、小柄で膨らみのない身体つきは中学生か、あるいはまだ小学生かも。
階段を登りきったところで発作を起こしたのか。
状況から察するに、倒れたところを発見されて神社の人に助けられたみたいだ。
制服の上から手をあて鼓動を確かめる。
当たり前だけどちゃんと心臓は動いてた。
死にたかった訳じゃないけど、迷惑をかけるのは申し訳ない。
それもこんな小さな子に手間をかけさせて。
これからはもっと気をつけないとな。
ちゃんとしつけられているのか、幼い見た目と裏腹にしっかりとした受け答えができている。
小学生だとしたら、えらくしっかりした子だ。
そんな俺の感心を余所に女の子はぽつりと呟く。
急須から入れたお茶を受け取ると、心地よい温もりが手に伝わる。
こちらだけちゃんとか付けると、小学生にへりくだっているようでなんだか嫌だ。
まぁ、呼びつけ同士だと対等って感じで、それもあまり好ましくないが、恩人相手に贅沢は言うまい。
どうやら魅木はその夜口神社の娘らしいが、魅木が巫女をしているというのは、覚えやすくもややこしい。
唐突な切り出しにやや面を喰らったが、迷惑を迷惑をかけた以上、礼なり詫びなりは必要だろう。
俺は正座のまま真剣な眼差しの巫女に答えた。
上目遣いで涙を潤ませるの魅木は卑怯なほどかわいい。
巫女服と合わさって二割…いや五割増しの破壊力だ。
だが、だからといって、出会ったばかりの女の子相手にそういう行為に踏み込めるほど、俺の道徳観念は歪んじゃいない。
まして中学生相手なんて論外だ。
しょんぼりする魅木に、俺はホッと胸をなでおろす。
しかし、彼女は油断した俺に予想外の選択を告げた。