03
文字数 991文字
と、聞き返すヒマはなかった。
魅木の小さな身体が、信じられないほどの力で俺を布団に押し倒す。
必死に押し返すが、小さな身体はビクともしない。
てっきり大人が運んでくれたのかと思ってたけど、この言い方からすると運んだのは彼女か!?
驚いたのはこっちだ。筋肉が落ちたとはいえ、俺はクラスでもデカい方だ。それを平然と軽いだなんて。
しかしその言葉がハッタリでないのは押さえ込む彼女の力が証明している。
そう言うと、魅木の小粒な唇が俺の唇に重ねられた。
かわいい年下の巫女さんに無理矢理キスとかなんだこの状況は。
だがそれを意識した途端、心臓の鼓動が強くなった。
キスを終えた魅木が、顔を上げ満足げに微笑む。
かわいいのになんだか怖い。
魅木は笑い続けたまま、次の行動に移らなかった。
それどころか、困ったようにたずねてくる。
たすかった。
どうやらキスより先の知識はないらしい。
そんな行き当たりばったりの成り行きでどうこうなってたまるか。
彼女は俺に馬乗りになったまま、さっきまで自分が座っていた座布団の下へと手を伸ばす。
そこから分厚い雑誌をとりだし確認をはじめた。
表紙しか見えないが、どうにもお子様には不釣り合いなアダルトな雑誌だ。
これなら、なんとかなるかもしれん。
雑誌から得た知識を実行しようとする魅木に俺は『待った』をかける。
俺の手に、そんなじゃんけん機能はいらない。
人食いの鬼婆みたいな発想をするヤツだ。