04
文字数 1,600文字
魅木は座布団の上に正座をし、俺は布団の上にあぐらをかいた状態で向かい合う。
こぼれたお茶を入れ直してもらい、それを飲んで息を整える。
お茶よりもスポーツドリンクが好きなんだけど贅沢を言ってる場合じゃない。
不登校だろうか?
そういうタイプには見えないが。
俺の声はだんだんと悲鳴に近くなっていく。
いかん、なんだか押され気味だ。
大人なんてロクなもんじゃないだろうに。
煙草を吸えて、酒が飲めること以外になんのメリットがあるんだ。
そういえば、エッチなことをすると髪の毛が伸びやすいとか、ホルモンバランスがなんたらで胸が大きくなるとかあったな。
でも魅木の
必要なのは成長期だろ。
ここで弱みを見せると押し返されるので口調を強める。
瞳を覗き込む魅木に俺は懇願する。
やり方を知らなかったってことは、未経験なんだろうけど、それを『ものは試しに』で実行してしまっていいものか。
再び座布団の下からとりだした教科書 をパンパン叩きながら魅木は主張する。
魅木がもっと育っていたら迷ったかもしれない……とは口にしない。
確かにそれには同意する。
同意するが押し返されそうなので言わないが。
胸を含め、全体的な成長に……とは言わない。
『ならあなたが育ててください』とか言われたら困るし。
なんだ、この耳年増は。
怒鳴ると、心臓の鼓動が強くなった。いかん、ムキになりすぎた。
慌てた心臓に手をあて、深呼吸で荒ぶった鼓動を落ち着かせる。
俺の様子を心配した魅木が心配そうに尋ねる。
そんな彼女に、俺は静かに自分の身体のことを語りはじめる。