21.Like a Rolling Rice Ball 2

文字数 1,500文字

 おかかのおにぎりは俺から逃げるように坂道をころがっていく。
 俺は暗い斜面で転びそうになりながらも必死でおかかのおにぎりを追いかけた。

 せっかく、最後のお楽しみにとっておいたのに!

 しかし、無情にもおかかのおにぎりは、小さな石で一回バウンドすると、そのままストンと坂道の終わりにあった穴に転がり込んでしまった。

「ありゃあ、わしのおにぎりがぁ」(平井成風に)

 おじいさんが覗き込むと、穴の中はずいぶんと奥まで続いているようです。

「こまったのぉ。せっかくばあさんが早起きして握ってくれたのにのぉ」(平井成風に)

 って、違うわっ!まんまと乗せられてしまった!?
 なんで、ここでローリングライスボール?

 これ以上付き合ってられないので、無視して進もうとしたその時、

 穴の中から、何やらかわいらしい、楽しげな歌声が聞こえてきたのじゃったぁ(平井成風に。以下同じ)。

「おむすびころりん、すっとんとん♪ おむすびころりん、すっとんとん♫」
 って、やめれっ!なんだ、この強制おむすびころりん進行は?!

 と思う間もなく、穴からダイソンもビックリな吸引音がすると、俺は穴の中にものすごい勢いで吸い込まれてしまった。

「あいたたたぁ」(以下略)
「腰をうってしもうたぁ」

 思い切り穴の底に落ちて腰を強打する。
 すると思った通り、そこには日本昔話風の立派なお屋敷が建っていて、門からこれまたきちんとした着物を身につけたネズミ達が現れた。

 しかも、ネズミ自体は、ハリウッドリメイク版で。
 こ、こえ~。リアルネズミ、超怖~。

 考えてもみて欲しい。でかめのドブ色をしたネズミたちが、それぞれに仕立ての良い、紋付き袴で着飾って現れたのだ。
 そして、あの何考えているんだかわからない感じの眼、眼、眼でこちらを見つめているのだ。
 ソニックがアメリカで映画化されたときも、なんか不気味の谷の一歩手前って感じがしたけど、あんな感じ。
 ちなみに、欧米人はリアル志向が強いので、日本のアニメアニメした感じのキャラクターは万人には受け入れられない。
 例えば、腕の細いアニメ風美少女キャラクターがドデカい剣を振り回すのは違和感が強く、抵抗を感じる人が多いらしい。
 でかい剣を振り回すのは、筋骨隆々のどでかい人間である必要があるのだ。
 なので、日本のゲームなんかを欧米でヒットさせるにはリアル志向で作る必要があるそうだ。古くはファイナルファイト、最近?だとバイオハザード、メタルギアなんかはその典型。
 日本のアニメアニメした感じのキャラクターが受けているのは、欧米でもごく一部のオタク系のユーザーだったりする。
 CoolJapanも良いけれど、日本のアニメ風キャラクターはそのままそれが欧米諸国の全体に通用すると勘違いさせるような言い方をする、政府とマスコミには気をつけないとね(経験者談)。

 さてさて、ネズミの中でもひときわ立派な衣装を着たハリウッドリメイク丸出しの感じのねずみがこちらに一匹近づいてきたので、その異様さに俺は思わず数歩後に下がった。

「おにぎりをどうもありがとうございます」

 表情豊かに微笑むと腰を曲げて丁寧に礼を言う。表情豊かなネズミってどうよ。

「お礼と言っては何ですが、屋敷で宴の用意をしてございます」

 紋付き袴で眼がマジのリアルネズミにこう言われ、俺はウンウンと思わず頷いてしまう。  
 よく見れば屋敷の塀の向こうにどでかいおにぎりの頭が見えている。
 ネズミに誘われるままに俺は立派な屋敷の門をくぐって中へと入っていった。

 なんか勢いで話が進んでるけど、果たして話の続きはどうなるんだ?
 やれやれ。

To be continued.
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