第5話UFOの歴史は誤変換から始まった。エイリアンの真実とは?

文字数 1,485文字

※ブリーフィングを録音したと思われる音声データより訳 

(前エピソードからの続き)
オペレーションαについて説明する前に、UFOの歴史についてまずは確認、共有しよう。

1947年6月24日、米国の実業家ケネス・アーノルド氏がワシントン州のレーニア山付近上空を自家用機で飛行中、当時の技術では不可能な時速1700マイルで編隊飛行する9機の「三日月状の物体」を目撃した。
メディアはその飛行物体をFlying Saucerと名付けて大々的に報道した。
その後も同様の目撃談が相次いで報告され、6日後にはFBI長官のジョン・エドガー・フーヴァー氏がUFOの目撃を調査するプロジェクトを発足させるほどの大騒動となった。

今の説明で変だなと気が付いた方がいたかと思うが、アーノルド氏が目撃したのは三日月状の物体である。実際に彼は会見で「三日月状の物体が、水面を saucer(皿) がバウンドしながら飛んでゆくような独特の飛び方をしていた」と語ったのだが、取材した新聞記者が誤変換して「Flying Saucer」という見出しで報じたのだった。
この事件によって謎の飛行物体=空飛ぶ円盤というイメージが定着し、その後、国防上の観点から米空軍も詳細な調査を行い、航空・軍事用語であるunidentified flying objectいわゆる「UFO」に総称されるようになった。
不思議なことに、ケネス・アーノルド事件の報道以降、三日月状ではなく円盤型のUFOが多数目撃されるようになった。

さらに2週間後の7月8日、ニューメキシコ州にあるロズウェル陸軍飛行場RAAFの報道官ウォルター・G・ハウト中尉が「第509爆撃航空群の職員がロズウェル付近の牧場から、潰れた「空飛ぶ円盤(flying disc)」を回収した」とのプレスリリースを出した。
色めき立ったニュース特約社が一斉に取り上げ配信したが、その4時間後、第8航空軍司令官が「RAAF職員が回収したものは「空飛ぶ円盤(flyingsaucer)」ではなく、気象観測用気球だった」と訂正した。
今でこそこの事件は世界的で最も知られたUFO墜落事件だが、この時はすぐに忘れ去られた。

最初のオペレーションにかかわるのでもうひとつ知っておいてほしいことがある。
「UFOはエイリアンの乗り物である」という説についてだ。
公的に大きな影響をおよぼしたという点で言えば、1949年に米国の航空ジャーナリストのドナルト・E・キーホー氏が唱えたのが最初といって差支えないだろう。衝撃的ではあったが彼の説は多くの人に支持された。
その2年後、「The Day The Earth Stood Still(地球の静止する日・1951年)」、「The Thing from Another World(遊星よりの物体X・1951年)」、「The War of the Worlds(宇宙戦争・1953年)など、『UFOに乗って地球にやってきたエイリアン』が地球征服を目論む』といった映画が相次いで公開され、大ヒットする。

1947年に起きた2つの事象をみてわかるように、UFOの歴史は、実はひとりの人間の「誤報」、「誤変換」から始まっている。
その後、人間が創造した「エイリアン」という概念が、映画やテレビドラマを通じて、社会的な事件となったケネス・アーノルドのUFO目撃と結び付き、一体化した。
「UFOはエイリアンの乗り物」と定義したのは政府でも科学者でもなく、大衆そのものであり、この後さらに「UFOの存在を政府が隠ぺいしている」という「陰謀論」へと発展していく。 (続く)
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登場人物紹介

ビル・ゲイツ

理論的天体物理学者・デイビッド・スパーゲル

ドナルド・トランプ前米大統領

安倍晋三元首相

ロシア・ウラジーミル・プーチン大統領

ドイツ・メルケル前首相

イギリス・ジョンソン前首相

オーストラリア・モリソン前首相

国家主義思想家・アレクサンドル・ドゥーギン

ジャーナリスト・ダリヤ・ドゥーギナ

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