第1話マール・ア・ラーゴからの贈り物
文字数 1,629文字
最高機密文書を入手した。
1月と8月の2度にわたってドナルド・トランプ前大統領の私邸「マール・ア・ラーゴ」を家宅捜索した米連邦捜査局(FBI)の押収から逃れた文書だ。
フロリダ州パームビーチにあるマール・ア・ラーゴ邸から見つかった1万1000点以上におよぶ政府文書と写真のうち、18点は「最高機密」、54点は「秘密」、31点は「機密」文書だった。
ロイターは「このほかに空のフォルダが90点あり、そのうち48点には「機密」と書かれていた。なぜ空のフォルダがあったのか、何か記録が抜けている可能性はあるのかなどは不明」と報じた。
このニュースには一点誤りがある。
空のフォルダ48点のうち8点は、TS/SCIと呼ばれる最高機密よりも1段上の「機密隔離情報」で、盗聴防止など特別な対策が講じられた施設だけでしか利用できない。ワシントン・ポストも伝えている。「中には特別な許可が必要な極秘の米作戦に関する文書が含まれている。アクセス制限が厳しく、バイデン政権のトップレベルの国家安全保障当局者らでさえ閲覧する権限がないものだ」
これが今、手元にある。
当局は大統領の職にあった人物に対する前例のない2度の家宅捜査でも、この最高機密を回収できなかったことに焦っている。冗談のような話だが、せめて公文書破棄の常習犯だったトランプ氏が、この文書もトイレに流していてくれたらと願っている。いずれにしても同氏の行動は「大統領記録・連邦記録法」違反として中間選挙終了後に訴追される可能性が高い。
トランプ前大統領以外、この文書の内容を何人が知っているのだろうか。
トランプ氏が機密文書を隠匿していると通報してきたディープスロート(内部通報者)も知っているのか。あるいは既に世界に拡散されてしまっているのかー。
トランプ前米大統領がロシアに機密文書を流出させていた可能性が浮上している中、8月20日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に大きな影響力を持つ国家主義思想家のアレクサンドル・ドゥーギン氏の娘ダリヤ・ドゥーギナ氏がモスクワ近郊で殺害された。彼女が運転していた四輪駆動車ごと爆破されたのだ。
誰が何の目的で彼女を殺害したのか。一説には犯人はナタリア・ボブクという43歳のウクライナ人女性で、暗殺事件の1か月前に入国していたという。ロシア側はウクライナ政府の仕業というがウクライナ政府はこれを真っ向否定。現時点で真相は明らかになっていない。
トランプ氏がプーチン氏に直接情報をリークすることはセキュリティー上到底不可能だが、間接的に情報を渡すことはできる。
ジャーナリストであったダリヤ・ドゥーギナ氏に情報を渡し、彼女から父親のアレクサンドル・ドゥーギン氏へ、そして彼からプーチン大統領にこの最高機密を伝える―。
トランプ氏がホワイトハウスを去ってから、トランプ氏と関係した先進国の首脳もまた、次々に表舞台から消えた。ドイツのメルケル首相、オーストラリア・モリソン首相、イスラエルのネタニヤフ首相、イギリスのジョンソン首相、日本の安倍晋三元首相・・・そしてウクライナ侵攻の戦況悪化によりロシアのプーチン大統領の失脚も時間の問題だと言われている。
そうそうたる首脳が次々に交代していることと最高機密文書は関係があるのだろうか。
訳していく中で明らかになっていくかもしれない。
次回から順次公表していく文書は、8個のフォルダーに格納してあったTS/SCI文書を翻訳し、容易に読めるように再構成したものとなる。
再構成にあたっては、
①専門用語の置き換え以外、文脈の改変、改竄はしない。
②国家機密の中でも特に厳重に管理されている「秘密人的情報源」にかかわる情報については
訳者に多大なリスクが及ぶ可能性があるため、必要箇所は伏字とする。
③黒塗りとされている部分については■■■で記載する。
順に訳していくので、方針に変更があったらその都度お伝えしていく。
1月と8月の2度にわたってドナルド・トランプ前大統領の私邸「マール・ア・ラーゴ」を家宅捜索した米連邦捜査局(FBI)の押収から逃れた文書だ。
フロリダ州パームビーチにあるマール・ア・ラーゴ邸から見つかった1万1000点以上におよぶ政府文書と写真のうち、18点は「最高機密」、54点は「秘密」、31点は「機密」文書だった。
ロイターは「このほかに空のフォルダが90点あり、そのうち48点には「機密」と書かれていた。なぜ空のフォルダがあったのか、何か記録が抜けている可能性はあるのかなどは不明」と報じた。
このニュースには一点誤りがある。
空のフォルダ48点のうち8点は、TS/SCIと呼ばれる最高機密よりも1段上の「機密隔離情報」で、盗聴防止など特別な対策が講じられた施設だけでしか利用できない。ワシントン・ポストも伝えている。「中には特別な許可が必要な極秘の米作戦に関する文書が含まれている。アクセス制限が厳しく、バイデン政権のトップレベルの国家安全保障当局者らでさえ閲覧する権限がないものだ」
これが今、手元にある。
当局は大統領の職にあった人物に対する前例のない2度の家宅捜査でも、この最高機密を回収できなかったことに焦っている。冗談のような話だが、せめて公文書破棄の常習犯だったトランプ氏が、この文書もトイレに流していてくれたらと願っている。いずれにしても同氏の行動は「大統領記録・連邦記録法」違反として中間選挙終了後に訴追される可能性が高い。
トランプ前大統領以外、この文書の内容を何人が知っているのだろうか。
トランプ氏が機密文書を隠匿していると通報してきたディープスロート(内部通報者)も知っているのか。あるいは既に世界に拡散されてしまっているのかー。
トランプ前米大統領がロシアに機密文書を流出させていた可能性が浮上している中、8月20日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に大きな影響力を持つ国家主義思想家のアレクサンドル・ドゥーギン氏の娘ダリヤ・ドゥーギナ氏がモスクワ近郊で殺害された。彼女が運転していた四輪駆動車ごと爆破されたのだ。
誰が何の目的で彼女を殺害したのか。一説には犯人はナタリア・ボブクという43歳のウクライナ人女性で、暗殺事件の1か月前に入国していたという。ロシア側はウクライナ政府の仕業というがウクライナ政府はこれを真っ向否定。現時点で真相は明らかになっていない。
トランプ氏がプーチン氏に直接情報をリークすることはセキュリティー上到底不可能だが、間接的に情報を渡すことはできる。
ジャーナリストであったダリヤ・ドゥーギナ氏に情報を渡し、彼女から父親のアレクサンドル・ドゥーギン氏へ、そして彼からプーチン大統領にこの最高機密を伝える―。
トランプ氏がホワイトハウスを去ってから、トランプ氏と関係した先進国の首脳もまた、次々に表舞台から消えた。ドイツのメルケル首相、オーストラリア・モリソン首相、イスラエルのネタニヤフ首相、イギリスのジョンソン首相、日本の安倍晋三元首相・・・そしてウクライナ侵攻の戦況悪化によりロシアのプーチン大統領の失脚も時間の問題だと言われている。
そうそうたる首脳が次々に交代していることと最高機密文書は関係があるのだろうか。
訳していく中で明らかになっていくかもしれない。
次回から順次公表していく文書は、8個のフォルダーに格納してあったTS/SCI文書を翻訳し、容易に読めるように再構成したものとなる。
再構成にあたっては、
①専門用語の置き換え以外、文脈の改変、改竄はしない。
②国家機密の中でも特に厳重に管理されている「秘密人的情報源」にかかわる情報については
訳者に多大なリスクが及ぶ可能性があるため、必要箇所は伏字とする。
③黒塗りとされている部分については■■■で記載する。
順に訳していくので、方針に変更があったらその都度お伝えしていく。