03.不審なメール その2
文字数 2,761文字
ほづみとたまきがマンションから出てくると、楠木とアレンは二人でワイワイと楽しそうに話し込んでいます。
ほづみは千尋から聞いた不思議な話を楠木とアレンに伝えました。
ほづみは千尋からもらった小さな鈴を楠木に渡しました。
ほづみとたまきはコンビニへ、楠木とアレンは教授からのもう一つの依頼である綾里 仁の住所へとタクシーで向かいました。
楠木とアレンは綾里 仁の部屋である 405 号室の前までやってきました。
ピンポーン。
玄関のドアが開き、中から男性が出てきました。
部屋の中に入るとまず、すぐに気付いたことがあります。
キッチンの水道の蛇口がガムテープで完全に封鎖されています。そしてバスルームやトイレに至っては、ガムテープで目張りがされており完全に塞がれています。
部屋の中に何かのにおいが充満していることにアレンは気が付きました。それはアロマの香りです。
二人は綾里に促され、部屋の奥まで足を踏み入れました。
室内はひどく散らかっており、しばらく掃除をしていない印象を受けました。
そう言って綾里は楠木とアレンに、とあるメールを見せました。
綾里は話すのを途中でやめて俯きました。
[綾里]
雨の日に家に帰る途中、変な黒い塊みたいなのがさ、いきなり襲ってきて…………その場はすぐに逃げてどうにかなったんだけど、それから水が出るところに近付くと突然ソイツが現れるようになったんだ
家にいるのが恐くてさ、ホテルを泊まり歩いてたりしてたんだけど流石に金がなくなって……
雨の日は外に出るのは危険すぎて……だから最近はずっと家にいるんだ
楠木とアレンは、綾里の口がカピカピに乾いていることに気付きました。
蛇口に触れようとしたアレンの腕を綾里がバッと捕まえました。
アレンと綾里の間に楠木が仲裁に入りました。
綾里はハッとして慌ててアレンから手を離しました。