01.教授からの依頼
文字数 3,894文字
私立探偵の『岸川 ほづみ』は、知り合いの大学教授から依頼を受け呼び出されました。
教授の部屋へ入ると知らない三人が待っていました。
三人が顔を合わせたところで、一人の男性が部屋に入ってきました。
アレンは、父の知り合いである芳川教授の部屋を訪れていました。
教授から父へ依頼があったため、その内容がどのようなものであるか聞いてくるように父から言われたのです。
たまきもまた教授から依頼を受け、その話を聞くために部屋を訪れていました。
楠木は元々教授とは骨董品関係で知り合いでした。
今回はとある骨董品の話をするために偶然、教授を訪ねたのでした。
[芳川]
この二人はうちのゼミの学生なのですが、しばらく大学に顔を出していないんです
様子を見に行きたいのですが、いま大学は休みの期間に入っていまして、ゼミ生だからと言って私が個人のお宅に訪問するのは色々とまずい
そこで今回はほづみさん、あなたに探偵として依頼をしたく呼ばせていただきました
アレンは電話をかけに部屋から出て行きました。
電話を終えたアレンが部屋に戻ってきました。
たまきは内心引いてます。
ほづみは芳川教授から綾里仁と高坂千尋の住所のメモを受け取りました。
二人の住所は大学を挟んでほぼ反対方向に位置しており、大学からタクシーを使えば 30 分、バスなら 40~50 分程度の距離です。
芳川教授はチラッとアレンを見ます。
芳川教授はあなたたちに LINE の ID と電話番号を教えた後、鞄を持って部屋の外へと出て行きました。
たまきはアレンに不安を感じ、一歩離れました。
たまきはアレンを見て目を輝かせますが、アレンは気にしていない様子です。
あなたたちは大学を出てタクシーに乗りました。
三人の心配は露程も知らず、アレンはイヤホンをして音楽を聴き始めました。
あなたたちは百貨店で手土産を買い、アレンが時折「もう着く? もう着く?」と尋ねてくるのを少々煩わしく感じながら目的地に到着しました。
領収書をもらってタクシーから降り、高坂千尋のマンションの前に立ちました。
楠木とアレンをマンションの下に待たせ、ほづみとたまきは、高坂千尋の家・305号室の前までやってきました。
ピンポーン。
ほづみは高坂千尋の部屋のチャイムを押しました。
扉の向こうから声が聞こえました。
玄関の扉が開きました。
ほづみとたまきが部屋の中の様子をチラッと見ると、なぜか床一面に白い粉が撒き散らされていました。
また、天井からはビニールテープの先に鈴蘭がついた鈴蘭テープがぶら下げられ、部屋中にのれんのように連なっていました。