05．もみ消された死
文字数 1,080文字
20時頃。
楠木が大学で待っていると、芳川教授が学会から戻ってきました。
［芳川教授］
楠木さん、帰ってらしたんですね
［楠木 甚之介］
待ってましたよ
［芳川教授］
いやぁ、すみません
今日は突然のお願いをきいてもらって
どうでした？
［楠木 甚之介］
二人とも話しはしてきたんですが、二人とも何やら心霊的な現象が起こって恐がって登校できないという様子でした
［芳川教授］
ああ、やっぱりそうだったんですね
［楠木 甚之介］
そうだったというのは、知っていたんですか？
［芳川教授］
実は学会の片手間、別の方に彼等の近しい人が亡くなった件について少し聞いてたんですよ
こちらで調べたところ、不思議な話であれなんですが…………
［楠木 甚之介］
ﾋｪｯ
［芳川教授］
高坂さんと綾里さんの、それぞれ亡くなった親族の方たちは、自然死として急に処理されていたみたいです
［楠木 甚之介］
ええ？
二人が言っていた話ではそんな話ではなかったような
［芳川教授］
ええ、私のほうもいま楠木さんから話を聞いておかしいなと思ったところです
［芳川教授］
私のほうで調べてもらった知り合いというのは警察の方なんですが、彼に詳しい調査をお願いしたところ、彼の上司から不正行為を行ったとされて謹慎処分が下されてしまったんです
いま連絡は取れるのですが調べることはできない状態なんです
［芳川教授］
なので大変申し訳ないのですが、二人と話をしたあなたたちにもうしばらく彼等のことを気にかけてもらってもよろしいでしょうか？
［楠木 甚之介］
それはいいんですけど、二人の死が自然死になったということを本人たちは知ってるんですか？
［芳川教授］
いや、恐らく本人たちは知らないと思います
［芳川教授］
私のほうで経費でしたらいくらでも出させてもらいますので、原因解明というのも難しいかも知れませんが、しばらく落ち着くまででいいので彼等のことを見ていてもらってもよろしいですか？
［楠木 甚之介］
分かりました
［芳川教授］
楠木さん以外の方にもこちらから同じ内容を連絡しておきますね
今日はもう遅いですしまた明日、彼等の家に行っていただいてもよろしいですか
［芳川教授］
本当に申し訳ない
これが終わったらまた美味しいお酒でも飲みに行きましょう
［楠木 甚之介］
行きましょう
芳川教授は、楠木に話した内容をほづみ、アレン、たまきにも連絡しました。
ほづみは綾里の家に泊まり、散らかった部屋を夜通し掃除する覚悟を決め、たまきは千尋を元気づけるために家に泊まり千尋とパジャマパーティをすることにしました。
翌朝になって楠木は綾里の家で、アレンは千尋の家で落ち合うことにしました。
