その1 骨シンチ

文字数 1,353文字

 ……名前だけ聞いても、わかるまいて。私は碇シンジの亜種か何かかと最初は思ったのです。まじで。
 骨の癌を見つける検査だと、医者は言います。

 骨シンチ。

 というわけで、行ってきました。
(『ドクターX』や、『病室で念仏を唱えないでください』のロケ地だったことは後で知ったのですが、その病院に)

 まあ、今回の骨シンチも念のため、という意味合いのものなんだろうとは思っています。胸はリンパにも骨にも近いので癌の転移はしやすいそうだが、私の場合は初期も初期の乳癌だったので、そのリスクは低かったのではないかなあ、と。(個人の判断ですが)

 というわけで、骨シンチ。

 午前中に注射を1本打ちました。授乳中かどうか、とか、子供と接する機会があるかどうか、尋ねられます。
 どうも、しばらくの間、放射線を発するようになってしまうから、というのが理由なのだとか。気になるなら身体から完全に抜けるまで近づかないように、とのこと。

 ……へえええ……。

 注射を打ってから、骨に薬剤がたまるまでにしばらく時間がかかるそうです。それまでは何をしてもいいと言われました。
 私の場合はちょうどお昼を挟むということもあったので、病院の外に出て喫茶店でお昼ごはんを食べつつ、時間を潰すことにしました。

 ……食べ過ぎました。

 台の上に寝っ転がって30分程度じっとしているだけの検査。
 寝ましたよね。ってか、寝ますよね。

 ……お恥ずかしい。

 で、結果。

 真っ黒じゃぁぁん!


 癌のある個所が黒く映るということを事前に調べていたものだから、自分の骨の写真を見た時には軽くどころではなく焦りました。

 腰骨と、胸骨が、真っ黒。
 黴がはえたかのような黒い点が密集しています。

 腰はさ、もしかしてさ、極度の腰痛もちなんだが……そのせいか?

 でも、胸は?
 胸が黒いのは、まずいんじゃないか??

 医者の診断では、癌については問題なし、で帰されたわけなのですが、いやいや、気になるでしょうが。しばらく悶々と考えてしまいましたよ。


 そこから、ひと月後。はっ、と思い至ります。


 4月に手術をして、7月に放射線治療を終えたその年。年明けの2月あたりから秋が深まるまで、私、ひたすら風邪をひいていました。
 ずーっとずーっと患っていました。

 私のいつもの風邪は全力の鼻炎から始まり、鼻炎に終始して、終わります。
 とにかく鼻水とくしゃみが止まりません。

 おかげでついに花粉症を発症したのかと落ち込み、(翌年の春はぴんぴんしていたから、やはり私は花粉症ではなかったのだが)、にしても、夏が過ぎて秋になっても落ち着かないなんて、どうしたことだろうか、と思っていたのです。

 あの時期、くしゃみをすると胸がギシギシ痛むのでかなりまいっていたんですよねえ。そう、これだ。骨が黒かった理由。きっとこれ。(素人判断です)

 弱っていたのかねえ……?
 仕事も忙しかったし、仕事と病院掛け持ちで、疲れていたのかもしれません。

 くしゃみって、場合によっては骨が折れることもあるらしいですし、やっぱり健康であることに越したことはないんですねえ。

 そんなことを思った、骨シンチ。
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