もし最終決戦で敗北したら ~テミス編~
文字数 3,517文字
ラドンに逃げられてしまった。タツヤとナタリーだけは無事だったがそれ以外の味方は全員ラドンにさらわれてしまう。
「どこだラドン!!出て来いよオラァ!!」
自棄を起こすタツヤだったが攫われてはどうにもならない。
「探しましょう。今ならまだ間に合うかもしれない…!」
ナタリーとタツヤは早速城を出て仲間探しに奔走するのであった。
———————一方そのころ薄暗い小屋では———————
気絶した金髪の女性…テミス・クルツは薄暗い小屋に運び込まれていた。
そこにはテミスのほかに悪魔のような姿をした小柄な少年がにやにやしながら佇んでいた。
その少年は背丈170cmくらいはあるテミスを軽々と小屋に運び込む。
小屋に運び込むとなんとテミスの靴を両方脱がせてしまった。
「ぐへへへへ…素足なんだぁ…いい匂いだなぁ…フヒヒヒヒ」
なんとその少年は気絶したテミスの素足の匂いを嗅ぎ始める奇行をしだした。
「さ、おねえちゃ~ん…お楽しみはこれからですよぉ~?」
そういうと少年はテミスの両腕をつるし上げ、足首を板に嵌めて動かなくしてしまった。
更には腰も台座に固定してしまう。最後に靴を天井につるし上げた。
そして数分後…
「う…うぅ……」
テミスは目を覚ました。
「どこだいラドン!出て来…あ?」
テミスは自分の様子に驚愕した。
ラドンと戦っていたはずがいつの間にか薄暗い小屋にいる。しかも両腕は上に縛られていて動かない。そのうえ足腰が縛られていて足裏に冷たい空気が触れるのを感じられた。まさか裸足に…?ラドンとの戦いでもう丸一日は靴を履いていただけに大分ひんやりとしていた。
「あ、目を覚ました」
少年の声が聞こえた。ラドンの一味ではなさそうだ。助かったか…?
「た、助けてくれないかい、坊や…どうもラドンに捕まっちまったみたいでさ…」
「うーん…只では助けられないかなぁ」
(何て生意気な奴なんだい、このクソガキ…!)
テミスは内心怒りに震えたが、目の前の少年以外に他に人はいない。言うことを聞くしかなかった。
「…あたしは何をすればいいんだい?」
「そうだなぁ…僕とゲームをしてお姉ちゃんが勝ったら助けてあげる。それでどう?」
「ゲーム?」
「これから30分間僕がお姉ちゃんにあることをする。それでお姉ちゃんが笑わなかったらお姉ちゃんの勝ち。それでお姉ちゃんを解放してあげる。」
その時テミスはこの少年が何をしようとしているのかを悟った。大方足裏をくすぐり回そうというのだろう。しかし、解放されないことにはどうにもならない。結局は従うしかなかった。
「…わかったよ。このままだとどうにもならないからね」
早く仲間のもとに向かわなければ仲間の命も危ない。タツヤのことはともかく、ほかの自警団達は無事だろうか…そう不安に思わずにはいられなかった。
「この砂時計が落ちきったら30分だよ。じゃ、よーいスタート!」
そういうや否や少年はなんとテミスの足裏を舐め回し始めた。
(! ひぃっ…!! 汚らしいクソガキだね…!!解放されたらタダじゃ済まさないよっ…!!)
もともとテミスは相当感じにくい体質である。土踏まずや側面や踵、指の付け根や拇指球や足指を少年に余すことなく熱心に舐め回されているにも関わらず、仰け反る様子は元より笑みを浮かべる様子すらない。ただくすぐったさはともかく年端もいかない少年が汗に濡れた足裏を余すことなく舐め回しているのはいくらテミスとて生理的嫌悪ととてつもない羞恥を禁じえなかった。
(ふ、ふん…こ、こんなもんかい…まだまだだね…!)
しかし、羞恥心と嫌悪感はともかくテミスは余裕があった。大分経って砂時計を見ると大体3分の1くらいは流れただろうか。
(あと20分くらいかい。余裕だね)
テミスは内心ほくそ笑んだ。しかし、謎の少年はいったん舐めまわすのをやめると
「ひぅっ!!な…なんだいこれは…!!」
突然謎のガスをテミスに吹きかける。突然の出来事にとっさに反応できずもろにガスを吸ってしまった。
「さ、続きをやろっか♪」
そういうと少年は再度テミスの土踏まずを舐めまわし始めた。しかし、そのくすぐったさは前までとは比べ物にならなかった。さすがのテミスも思わず歯に力を入れる。
(ひぎぃっ…!!さっきまでと全然違う…!!)
今まで通り、少年は土踏まずや側面や踵、指の付け根や拇指球や足指を舐めまわしているだけだが、くすぐったさが十倍以上になり、僅か数分だけの舐め回しでテミスは汗をかき始める。少年の唾液とテミスの足裏の汗で皮膚がふやけてきて、感度が徐々に上がってきていることもテミスの体力を奪う要因になっていた。
(耐えてやる耐えてやる耐えてやる耐えてやる耐えてやる…!こんなもんじゃ…あたしはくじけやしないよぉぉぉ!!)
しかしテミスは力を振り絞って必死に耐え続ける。仲間を救うために。しばらくして砂時計を見ると
(あと3分の1…!!いける!!)
勝利を信じるテミスの目の前にテミスの瞳の色が急に変わった。
なんと少年の後ろからヤギが2頭現れたのだ…!彼女にとっては死の宣告にも等しいものであった。しかし、テミスはあきらめなかった。
(こんなところで…負けれるかっ!!来い!耐えきってやるよ!!!)
ヤギが来たことを察知すると少年は離れ、さらにガスを吹きかける。
「げほっ…ごほっ…!!」
次の瞬間ヤギの舌がテミスの足裏に余すことなく襲い掛かった。
(いぎぃぃぃぃぃぃ!!!!うぎひぃぃぃぃぃぃぃっっ!!!!)
テミスは歯を食いしばるもこれまでとは比べ物にならないほどのくすぐったさに激しく身を捩って仰け反り、涙と涎を垂らしている。それでもテミスは最後の力を振り絞って必死に耐えている。
「なかなか笑わないね~」
テミスは答えなかった。口を開けばテミスは狂ったように笑うだろう。もはや彼女の足裏は限界状態にあった。唾と汗でふやけ、指で少しつつかれるだけで体中に電撃が走ったような衝撃につつまれるほどに。人間の舌でも到底耐えがたいのにヤギのざらざらした舌で足裏をえぐられるのだ。テミスの精神状態も体力も限界状態にあり、ヤギの舌が彼女の足裏を舐めるたびに心にビキビキとひびが入っていった。テミスはもはやヤギの舌に支配されていた。
「あ、30分経っちゃった。あーあ…負けちゃったよ」
少年のその言葉を瞬間テミスは狂ったように笑い出した。
「うぎぃえあーははひゃひゃひゃはやひゃひゃひゃひひひひははははは!!うぎゃはははひゃひゃびゃひゃはははひゃひゃ!!」
その笑い声を聞いた瞬間少年は悪魔じみた笑みを浮かべる。ついでにヤギの足舐めも止まる。
「はぁ~~はぁ~~はぁぁぁぁ~~~~……」
テミスはもはや言葉を発することすら覚束なくなっていた。とにかくこれで30分経ったのだ。勝ったのだから解放されて当然…
「あ、よく見たら砂時計29分だったわ。ざんねーん♪お姉ちゃんの負け~♪」
「う…うそだ…嘘をつくなクソガキガァァァァァァァァァ!!!!解放しろぉ!!約束を守れぇぇぇぇ!!!!!解放しろぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
体力の消耗にも関わらず、テミスはなりふり構わず喚き散らす。しかし…
「ほら懐中時計。記録は29分19秒ね。てわけでお姉ちゃんの負け。じゃ、罰ゲームだね♪でも僕は優しいから追加で2時間足裏を舐め回されてくれたら解放してあげるね♪」
「うがあぁぁぁぁぁぁ!!殺してやるぁぁぁ!!!!!クソガキァァァァァァァァっ!!!」
テミスは怒り狂って吠えるも結局どうにもならなかった。そしてヤギの舌が再度、テミスの足裏に襲い掛かる…。
「うぎゃはははひゃひゃびゃひゃはははひゃひゃぁぁぁぁああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
そして二時間後……
「お姉ちゃんの足裏の型を手に入れたぞ!よっしゃーい!!これでコレクションがまた増えたぞいやっほーう!!」
少年は気絶したテミスの足裏の型を取っていた。足裏の型を取り、テミスを解放すると小屋を後にした。
翌日ナタリーはついに薄暗い小屋でテミスを発見した。しかし、テミスはすでに息絶えていた。足裏から大量の血が溢れ、アヘ顔の表情をさらして…。ナタリーはその姿を見て怒り狂ったが、自分の非力を呪うのであった。
「ラドン…!ラドン!ラドン!!ラドン!!!うああああああああああっ!!!」
そして数日後、レナリア以外の仲間たちも全員発見されたが、誰一人として生きている者はいなかった…。
——————BAD END 5「無力の代償」——————