第5話 初体験
文字数 3,714文字
「どうした? 早くせねば腐ってしまうぞ? 常彦からも言ってやったらどうじゃ?」
「え……いや、だって」
窓ガラスに映った自分の姿に、赤屍さんは愕然とし、狼狽の色を隠せなかった。
「説得せねば、此奴は朽ち果てるぞ?」
「……っ」
「それに、時間が経ってからでは貴様がキツイのではないか?」
「僕が……? どういう意味だよ」
「おぞましい姿となったゾンビと、貴様は交尾できるのかと聞いておるのじゃ」
「!?」
「今ならまだ、美しい状態の此奴と交尾ができる。この選択は常彦、貴様の選択でもあるのじゃ」
「ひっ、卑劣だぞ! こんなこと許されるわけがない!」
「勘違いするでないぞ、常彦よ。我の目的は貴様の魂を穢すことにある。目的のためなら、我は手段など選ばん」
「それ、どういう意味よ」
リリムの言葉に違和感を覚えた赤屍さんが、剣幕を纏って詰め寄ってきた。
「実は…」
赤屍さんが巻き込まれた原因は僕にあったので、説明するしかなかった。
「つまり、童貞の神々廻が死ねば勇者に転生して、あんたのパパが殺されるから、神々廻に女の子をあてがうってこと!? 何なのよそれ!」
「常彦の魂を穢すためじゃ。常彦は交尾相手の容姿に強いこだわりがあってな、初めては貴様でなければやりとうないと言いおった」
「――なっ、なんてことを言うんだよ!?」
「事実ではないか。常彦はこの雌が好きなのじゃろ? この雌と交尾したいと言っておったではないか」
そんなことは言っていない。リリムが勝手に僕の心の中を覗き込んだだけだ。
しかし、そんないいわけはきっと通用しない。
僕は恐怖に震える体を抑えながら、赤屍さんへと振り返った。
「え……?」
てっきりブチギレられるものとばかり思っていたのだが、赤屍さんは顔を真赤にしてうつむいていた。
「し、神々廻って……その、あ、あたしのこと好きだったの?」
「いや、その……」
「なによ! はっきりしなさいよ!」
「あっ、はい! す、好きでした……」
「……へ、へぇー………そうなんだ」
え……この変な空気は一体何なんだろう。
赤屍さんはなぜ、そんなにもじもじしてるんだろう。
「わ、わかったわ。あたしもこのまま死ぬのは嫌だし、あんたとセックスして魔力を補充するわ」
「え、えええええっ!? ほ、本気なんですか!?」
「なによ! 嫌なわけ!」
「いえ、決して嫌というわけではなくてですね……」
「あんた男でしょ、はっきりしなさいよ! あたしとやりたいの? それともやりたくないの? どっち!」
「はい! その、あの……や、やりたいです!」
ついに本人に直接言ってしまった。
「なら決まりね」
「ほ、本当にいいんですか?」
「神々廻……」
「はい?」
「神々廻が自殺しようとした責任はあたしにもある」
「え……」
「神々廻が自殺なんてしようとしなければ、少なくともこのタイミングであんたは来なかったんでしょ?」
リリムは肯定だというように頷いた。
「なら、これはある意味自業自得ってことじゃん」
「でも……赤屍さんは助けようとしてくれたじゃないか!」
「……結局、助けられなかったら同じじゃない。神々廻のこと、自殺するまで追い込んじゃったんだから」
「……」
何か言わなきゃと思うのだが、言葉が出てこない。
「てか、それであたしのこと好きになったとか?」
「えぇっ!? いや……」
「いちいち赤くなんないでよ! こっちまで恥ずいじゃん」
「ご、ごめんなさい。……でも、本当にいいんですか?」
「……うん。やらなきゃどの道、あたし死ぬんだよね?」
「たぶん」
リリムの言葉をどこまで信じていいのか分からないけれど、魔力残量が0%になった赤屍さんの肉体は、確かに朽ち果てようとしていた。
「それに、神々廻って意外にかわいい顔してるよね。本当は、いかつい系よりかわいい系の方があたしのタイプなのかも」
彼女は僕に気を遣ってくれているのだろうか、それとも本心で言っているのだろうか。
恋愛経験ゼロの僕には、彼女の真意がわからなかった。
「だから、それ以上自分を責めるのはやめにしない? あたしも、自分を責めるのはやめるから」
「――――!?」
赤屍さんが一気に僕へと身を寄せてきた。
彼女の豊満な胸が僕の平らな胸に押しあてられた。
「神々廻はキス、したことある?」
「な、ないです」
とっさに嘘をついてしまった。
本当は先程リリムから濃厚なキスをされたばかりだった。
ちらりとリリムの方を横目で確認すると、まったく気にした様子はない。
彼女にとって僕とのキスなど、キスのうちに入っていないのかもしれない。
「なら――あたしが教えてあげる」
「え――――んっ!?」
赤屍さんの薄い唇と僕の唇が触れた瞬間、ふわっと内臓が浮き上がる奇妙な感覚を覚えた。
リリムとキスをした時のように、急激に意識を持っていかれるようなことはないけれど、何かが吸い取られるような感覚はあった。
「!?」
彼女が僕の両頬をつかみ取ると、口内に生暖かい何かが入ってくる。
そいつがまるで怪鳥のように、僕の口の中で暴れまわった。
ぼんやりとした意識の中で、頬を艶めかしく上気する赤屍さんと目が合った。
「とりあえず、少し魔力を補給できたみたい」
赤屍さんの言葉通り、彼女の髪は鮮やかな金髪に戻っていたし、爪も変色していなかった。
ゾンビアプリで魔力残量を確認すると、5%回復していた。
「あの程度のキスだと、この程度ってこと?」
赤屍さんの問いかけに、リリムは鷹揚と頷いた。
「キスの長さと濃厚度にもよるが、唾液では微力の魔力しか補給できん」
「唾液……ってことは、キスが直接魔力の受け渡しに関係しているわけじゃないのね」
「さあ、どうじゃろうな」
ムッとする赤屍さんだったが、腐食化が止まり、魔力が少し回復したことで余裕が出たらしい。
「……いいわ。とりあえずここでは無理だから、神々廻の家かラブボに移動したいんだけど、神々廻いくら持ってる?」
正直残金はほとんど持ち合わせていない。
「あー、そっか。太一たちにカツアゲされてるんだもんね。あたしも今月服とかコスメ買い過ぎてヤバいんだよね。神々廻の家って近い? ちなみにあたしん家は無理だから。親居るし、妹や弟たちもいるから」
「僕の家も……この時間は親が」
「だよね」
困ったなとふたりで頭を抱えていると、
「ここですればよかろう」
「は?」
まさかの提案に、僕たちは言葉を失っていた。
「何言ってんのよあんた! ここコンビニよ!」
「問題なかろう? 既に人払いは済ませておる。この建物の半径50メートル以内には、誰も近づけん。というか、我のプランでは始めからここで交尾をするつもりじゃ」
「コンビニなんかで出来るわけないでしょ!」
「貴様ら人間というやつは相変わらずようわからん。どこでも同じじゃろ」
「全然違うわよ!」
「覚悟を決めたんじゃろ。ならさっさと脱いでしまえ」
「あっ、ちょっと、嫌ッ! 体が勝手に!」
またリリムが何かしたのか、赤屍さんが突然店内でロンTを脱ぎ始めた。
「!?」
「ちょっと、見ないで神々廻ッ!」
リリムの目利き通り、赤屍はブラジャーを付けていなかった。
「ご、ごめん!」
「何を馬鹿なことを言っておるのじゃ。貴様らはこれから交尾をするのじゃろ?」
「そ、それはそうだけど……電気付いたままとか無理だからっ!」
「甘ったれるでないわ!」
――ズボッ!
とリリムが赤屍さんのシャカパンをずらしてしまった。
「いやぁああああああっ!?」
赤屍さんは目尻に涙をため込み、絶叫していた。
僕は見てはイケないとわかっていながらも、彼女の胸と下着から目が離せなくなっていた。
「このまま我が貴様を操作して最後まで致すか? 貴様が決めろ」
「……じ、自分でやるわよ」
「うむ、よかろう」
下着姿の赤屍さんと向き合った僕の心臓は荒く鼓動し、その鼓動の音が耳に響いていた。
「……し、神々廻、は、初めてなのよね?」
「は、はい」
「わ、わかった。なら……あたしがリードするから」
「お、お願いします」
赤屍さんは僕の前で跪き、僕のズボンのベルトに手をかけた。
その瞬間、いつも僕を馬鹿にしていた後藤の顔が思い浮かんだ。
あの日、優しい言葉をかけられてから1年間、ずっと彼女を想い続けてきた。
だけど、相手は僕をいじめる男の彼女、ヤクザの息子の彼女だ。
僕なんかが彼女とどうこうなれるわけ無いと思っていた。
でも、違う。
僕は彼女とこの瞬間に結ばれる。
心に広がる背徳感が、魂を震わせた。
これがNTR――禁断の行為。
僕の体は彼女という名の快楽に溺れ、何度も何度も彼女を引き寄せた。
そのたびに二人の唇が触れ合い、炎のような情熱が燃え上がる。
僕らは理性と欲望、背徳感の狭間で揺れ動きながら、その瞬間を全身で感じていた。
背徳の罪深さと快楽の甘美さが交錯し、僕たちの運命は不可逆的に結びついた。
「ハァ……ハァ……」
憧れていた相手との初体験を終えた僕は、天井のシミを数えていた。
彼女は僕の腕の中でスマホを操作していた。
彼女の魔力残量は100%になっていた。
「やはり、この程度では穢れんか……」
充たされていた僕とは対照的に、リリムはとても不満そうな表情をしていた。
「え……いや、だって」
窓ガラスに映った自分の姿に、赤屍さんは愕然とし、狼狽の色を隠せなかった。
「説得せねば、此奴は朽ち果てるぞ?」
「……っ」
「それに、時間が経ってからでは貴様がキツイのではないか?」
「僕が……? どういう意味だよ」
「おぞましい姿となったゾンビと、貴様は交尾できるのかと聞いておるのじゃ」
「!?」
「今ならまだ、美しい状態の此奴と交尾ができる。この選択は常彦、貴様の選択でもあるのじゃ」
「ひっ、卑劣だぞ! こんなこと許されるわけがない!」
「勘違いするでないぞ、常彦よ。我の目的は貴様の魂を穢すことにある。目的のためなら、我は手段など選ばん」
「それ、どういう意味よ」
リリムの言葉に違和感を覚えた赤屍さんが、剣幕を纏って詰め寄ってきた。
「実は…」
赤屍さんが巻き込まれた原因は僕にあったので、説明するしかなかった。
「つまり、童貞の神々廻が死ねば勇者に転生して、あんたのパパが殺されるから、神々廻に女の子をあてがうってこと!? 何なのよそれ!」
「常彦の魂を穢すためじゃ。常彦は交尾相手の容姿に強いこだわりがあってな、初めては貴様でなければやりとうないと言いおった」
「――なっ、なんてことを言うんだよ!?」
「事実ではないか。常彦はこの雌が好きなのじゃろ? この雌と交尾したいと言っておったではないか」
そんなことは言っていない。リリムが勝手に僕の心の中を覗き込んだだけだ。
しかし、そんないいわけはきっと通用しない。
僕は恐怖に震える体を抑えながら、赤屍さんへと振り返った。
「え……?」
てっきりブチギレられるものとばかり思っていたのだが、赤屍さんは顔を真赤にしてうつむいていた。
「し、神々廻って……その、あ、あたしのこと好きだったの?」
「いや、その……」
「なによ! はっきりしなさいよ!」
「あっ、はい! す、好きでした……」
「……へ、へぇー………そうなんだ」
え……この変な空気は一体何なんだろう。
赤屍さんはなぜ、そんなにもじもじしてるんだろう。
「わ、わかったわ。あたしもこのまま死ぬのは嫌だし、あんたとセックスして魔力を補充するわ」
「え、えええええっ!? ほ、本気なんですか!?」
「なによ! 嫌なわけ!」
「いえ、決して嫌というわけではなくてですね……」
「あんた男でしょ、はっきりしなさいよ! あたしとやりたいの? それともやりたくないの? どっち!」
「はい! その、あの……や、やりたいです!」
ついに本人に直接言ってしまった。
「なら決まりね」
「ほ、本当にいいんですか?」
「神々廻……」
「はい?」
「神々廻が自殺しようとした責任はあたしにもある」
「え……」
「神々廻が自殺なんてしようとしなければ、少なくともこのタイミングであんたは来なかったんでしょ?」
リリムは肯定だというように頷いた。
「なら、これはある意味自業自得ってことじゃん」
「でも……赤屍さんは助けようとしてくれたじゃないか!」
「……結局、助けられなかったら同じじゃない。神々廻のこと、自殺するまで追い込んじゃったんだから」
「……」
何か言わなきゃと思うのだが、言葉が出てこない。
「てか、それであたしのこと好きになったとか?」
「えぇっ!? いや……」
「いちいち赤くなんないでよ! こっちまで恥ずいじゃん」
「ご、ごめんなさい。……でも、本当にいいんですか?」
「……うん。やらなきゃどの道、あたし死ぬんだよね?」
「たぶん」
リリムの言葉をどこまで信じていいのか分からないけれど、魔力残量が0%になった赤屍さんの肉体は、確かに朽ち果てようとしていた。
「それに、神々廻って意外にかわいい顔してるよね。本当は、いかつい系よりかわいい系の方があたしのタイプなのかも」
彼女は僕に気を遣ってくれているのだろうか、それとも本心で言っているのだろうか。
恋愛経験ゼロの僕には、彼女の真意がわからなかった。
「だから、それ以上自分を責めるのはやめにしない? あたしも、自分を責めるのはやめるから」
「――――!?」
赤屍さんが一気に僕へと身を寄せてきた。
彼女の豊満な胸が僕の平らな胸に押しあてられた。
「神々廻はキス、したことある?」
「な、ないです」
とっさに嘘をついてしまった。
本当は先程リリムから濃厚なキスをされたばかりだった。
ちらりとリリムの方を横目で確認すると、まったく気にした様子はない。
彼女にとって僕とのキスなど、キスのうちに入っていないのかもしれない。
「なら――あたしが教えてあげる」
「え――――んっ!?」
赤屍さんの薄い唇と僕の唇が触れた瞬間、ふわっと内臓が浮き上がる奇妙な感覚を覚えた。
リリムとキスをした時のように、急激に意識を持っていかれるようなことはないけれど、何かが吸い取られるような感覚はあった。
「!?」
彼女が僕の両頬をつかみ取ると、口内に生暖かい何かが入ってくる。
そいつがまるで怪鳥のように、僕の口の中で暴れまわった。
ぼんやりとした意識の中で、頬を艶めかしく上気する赤屍さんと目が合った。
「とりあえず、少し魔力を補給できたみたい」
赤屍さんの言葉通り、彼女の髪は鮮やかな金髪に戻っていたし、爪も変色していなかった。
ゾンビアプリで魔力残量を確認すると、5%回復していた。
「あの程度のキスだと、この程度ってこと?」
赤屍さんの問いかけに、リリムは鷹揚と頷いた。
「キスの長さと濃厚度にもよるが、唾液では微力の魔力しか補給できん」
「唾液……ってことは、キスが直接魔力の受け渡しに関係しているわけじゃないのね」
「さあ、どうじゃろうな」
ムッとする赤屍さんだったが、腐食化が止まり、魔力が少し回復したことで余裕が出たらしい。
「……いいわ。とりあえずここでは無理だから、神々廻の家かラブボに移動したいんだけど、神々廻いくら持ってる?」
正直残金はほとんど持ち合わせていない。
「あー、そっか。太一たちにカツアゲされてるんだもんね。あたしも今月服とかコスメ買い過ぎてヤバいんだよね。神々廻の家って近い? ちなみにあたしん家は無理だから。親居るし、妹や弟たちもいるから」
「僕の家も……この時間は親が」
「だよね」
困ったなとふたりで頭を抱えていると、
「ここですればよかろう」
「は?」
まさかの提案に、僕たちは言葉を失っていた。
「何言ってんのよあんた! ここコンビニよ!」
「問題なかろう? 既に人払いは済ませておる。この建物の半径50メートル以内には、誰も近づけん。というか、我のプランでは始めからここで交尾をするつもりじゃ」
「コンビニなんかで出来るわけないでしょ!」
「貴様ら人間というやつは相変わらずようわからん。どこでも同じじゃろ」
「全然違うわよ!」
「覚悟を決めたんじゃろ。ならさっさと脱いでしまえ」
「あっ、ちょっと、嫌ッ! 体が勝手に!」
またリリムが何かしたのか、赤屍さんが突然店内でロンTを脱ぎ始めた。
「!?」
「ちょっと、見ないで神々廻ッ!」
リリムの目利き通り、赤屍はブラジャーを付けていなかった。
「ご、ごめん!」
「何を馬鹿なことを言っておるのじゃ。貴様らはこれから交尾をするのじゃろ?」
「そ、それはそうだけど……電気付いたままとか無理だからっ!」
「甘ったれるでないわ!」
――ズボッ!
とリリムが赤屍さんのシャカパンをずらしてしまった。
「いやぁああああああっ!?」
赤屍さんは目尻に涙をため込み、絶叫していた。
僕は見てはイケないとわかっていながらも、彼女の胸と下着から目が離せなくなっていた。
「このまま我が貴様を操作して最後まで致すか? 貴様が決めろ」
「……じ、自分でやるわよ」
「うむ、よかろう」
下着姿の赤屍さんと向き合った僕の心臓は荒く鼓動し、その鼓動の音が耳に響いていた。
「……し、神々廻、は、初めてなのよね?」
「は、はい」
「わ、わかった。なら……あたしがリードするから」
「お、お願いします」
赤屍さんは僕の前で跪き、僕のズボンのベルトに手をかけた。
その瞬間、いつも僕を馬鹿にしていた後藤の顔が思い浮かんだ。
あの日、優しい言葉をかけられてから1年間、ずっと彼女を想い続けてきた。
だけど、相手は僕をいじめる男の彼女、ヤクザの息子の彼女だ。
僕なんかが彼女とどうこうなれるわけ無いと思っていた。
でも、違う。
僕は彼女とこの瞬間に結ばれる。
心に広がる背徳感が、魂を震わせた。
これがNTR――禁断の行為。
僕の体は彼女という名の快楽に溺れ、何度も何度も彼女を引き寄せた。
そのたびに二人の唇が触れ合い、炎のような情熱が燃え上がる。
僕らは理性と欲望、背徳感の狭間で揺れ動きながら、その瞬間を全身で感じていた。
背徳の罪深さと快楽の甘美さが交錯し、僕たちの運命は不可逆的に結びついた。
「ハァ……ハァ……」
憧れていた相手との初体験を終えた僕は、天井のシミを数えていた。
彼女は僕の腕の中でスマホを操作していた。
彼女の魔力残量は100%になっていた。
「やはり、この程度では穢れんか……」
充たされていた僕とは対照的に、リリムはとても不満そうな表情をしていた。