第7話 「つかえないモノはゴミ箱へ」
文字数 923文字
部屋には男と小林とiPad
自分の作品に
泥でも拭われたかのような反感を小林が示すより早く
男は【x】キーを押していた
全文選択の状態だったから
それは全削除に同じこと…
ゴミ箱に棄 てたメモを
ゴミ箱のゴミ箱へ追いやる
チリチリに
ここまですれば
産みの小林といえど
完全な復元はできない
小林ぬかりなし
男は
iPadのキーボードを
通常のタイピングスタイルに戻した
異様な眼力を感知した視線が
iPadから小林に移る
世界からひとつ
枯れた