第7話 「つかえないモノはゴミ箱へ」

文字数 923文字

部屋には男と小林とiPad
 
・・・
(きった)ねッ!
んだトォ!?
自分の作品に

泥でも拭われたかのような反感を小林が示すより早く

男は【x】キーを押していた


全文選択の状態だったから

それは全削除に同じこと…

(チャンス!)


っそ、そうだな

ただのローマ字の羅列(られつ)だ…っすね

(あっぶね、かな入力?だったら即死だった)


先輩の目でなくても

毒っすよ、ドク

ゴミ箱

ポポイポ〜イ♪

っとな

ゴミ箱に()てたメモを

ゴミ箱のゴミ箱へ追いやる


(ちり)(ちり)

チリチリに


ここまですれば

産みの小林といえど

完全な復元はできない


小林ぬかりなし

キレイ♪キレイ♪
スッキリしたな!
でよオ__
なにやってたんだ?
ブラインドタッチィの練習っすよ♪
練習って…


なにを入力してたんだ?

どうでもいいことを


テキトーにっす

今日は晴れたなあ…とか

エレシネマショーってなんだろなあとか

テキトーすぎて

もう覚えてネス湖っす

そっか!
タイプ練習なら

笑えるアプリあるぜ

ヨイショと
男は

iPadのキーボードを

通常のタイピングスタイルに戻した

たしか…

ゲーム名はなんだったかあ__

異様な眼力を感知した視線が

iPadから小林に移る

どうした小林
……元に


戻しちゃうんすか?

ん?
せっかくハッキングして

改造したキーボード


普通にしちゃうんすか?

ああ


そうだ

なんで?
ん?

なぜって…

コレでいいからだ

どして
おお

聞いてくれるか小林

…実はな

メモ起動でタッチしたとき

気付いちまったんだ

うん
遠いんだな


画面が

画面への視線角を緩やかにしようと

キーボードに背伸びさせて距離を取ったんだが

今度はタッチパネルに触れる手が遠退いちまってな

コリャ

使いもんなんねえわ

なんでだよ…
え?
なんでそんなことすんだよ!
……なんでってそりゃ


なあ?

利便を求めた矢先

不便にぶち当たっちまった


引き返すっきゃねえ

オメエが悪いんじゃんか
そうだな

見込みが甘かった

だからってオレにはこれ以上どうしようもねえ

手を伸ばすのもバカげてる

だからいらねえ
なんでそうなんだよ!
どうして…

こんなこと

するんだよ…

小林…


さっきから変だぞ

コイツが何したってんだよ…
おーい
ん?
なんでもない


なんでもない

変なヤツ
それよりホラ


ゲームがあるんすか?

キーボードのヤツ!

おうッ



小林が


世界からひとつ


枯れた

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登場人物紹介

見た目は子供

中身はシュウトメ


ハタチ独身クソ美ッチ!


晩年片想いのあの人に…

ついつい意地ワルを説戒♪

特に思い入れ無い

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