(二)

文字数 318文字

「昨日『いなほ銀行』に事情を聞きに行きまして。そのときに、こちらの捜査員が訪ねてきたと聞いたんですよ」
 取調室の一室で、中原忠哉と名乗る大阪府警県警本部捜査一課の刑事は、簡単な挨拶に続けて関西弁のイントネーション混じりにそう切り出した。
「大阪豊中市にある緑地公園で大手メガバンク『いなほ銀行』の社員・伊賀屋(いがや)真喜夫(まきお)が変死体となって発見された事件を担当しています。その被害者について『いなほ銀行』に事情聴取したところ、伊賀屋という男は社内で不正をしていたようです。チンピラを使って資金返済を無理矢理迫るなどしていたとか。本社がそれを把握し、露見を恐れて大阪支社に『栄転』という形で転勤させて、詳しい調査も打ち切ったということでした」

(続く)
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み