第7話

文字数 569文字

 私に与えられた意味のないシュールな時間は、まだまだ続くのだろうか?……。
 まるで夢なかを自覚するようで、まだ現実世界では死んでいない。それは、キミの起きている時間にも続いていることだ。
 この世のシュールを自覚すれば、狭い枠に縛られたキミの几帳面な精神も、すこしずつ落ち着きをとり戻し安定することだろう。
 そういえば、今日はあの青年を見かけなかった。もう、仙人になることは厳しすぎて諦めてしまったのだろうか?……そのほうがいい。間違って事件や自殺など起こされたら大変だし、やりきれないからだ。
 さっさと親もとにでも帰って、リセットすることだ。まだまだ先のある青年のことだ、一からやり直せばいい。かれの望んでなりたい仙人以外は、なんだって出来る筈だ。まともに暮らしてくれればそれでいいが……。
 誰も自由に生きている者など、この世には居ない。この世に生きて、この世に縛られ暮らしているのだから、誰一人として自由に生きている者など居ない筈だ。人間界のなかで深山幽谷などの静寂に住み、神変自在の術を有する仙人など、誰かが創りだした幻影なのだろう。
 知らない他人から見てみれば、山の頂で悠々自適に好き勝手に暮らしているように見えるのだろうが、実は裏から見てみると、絶壁の崖っぷちに辛うじて立っている。不安で危うい存在なのだから……。

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