33話 夜の闇は意外に暗く
文字数 1,271文字
「歌柳院小夜 様、慰安コンサートの要請にお応え頂き、心より感謝申し上げます。仮説ステージの準備は進んでおります。どうぞこちらへ」
「28階潜入チームの皆様、お疲れ様です。マザージュピターより、協力及び作戦の提案がございます。臨時作戦室を仮設しておりますので、どうぞこちらへ」
2機のアンナロイドはこちらの返事を待つことなく、二手に別れて歩きだす。
「えー、翼 ちゃんと別れるのやだよー。一緒が良い!」
「先程、殺そうとしてきておいてよく言いますね」
特に提案を蹴るつもりではなかったが、嫌みのひとつでも言わなきゃやってられなかった。
「歌柳院小夜様、今回の慰安コンサートはソロとなります。ご容赦ください」
「その件に関しましては誤解が―――」
「ちょっと、どういう事! ジュピター! 説明しなさい! 翼ちゃんを殺そうとしたってどういうことよ!」
振り向きもせずに言い放たれたアンナロイド達の言葉に、これまで緊迫感の欠片もなかった小夜の空気が一変した。
しかも反応したのはアタシの言葉。
アタシだけじゃなく、潜入チームと小夜の護衛達も、小夜の豹変ぶりに驚きの目を向ける。
小夜には琥珀お嬢様を助けるために28階に向かおうとしていることは説明したが、そこにいたる経緯までは話していなかった。
とはいえ、この反応は少し過剰すぎやしないか?
「マザージュピターに飛鳥 翼様への殺害の意志は―――」
「ジュピターにその意思はなくとも、ジュピターが今回とった行動は、人を殺しうるものでした。もう200年も人間を見続けているジュピターが、そのことに気づいていなかったはずはありません」
こ、今度は亀ちゃんだ。小夜のように怒鳴りこそしていないものの、なんだか静かな怒りを感じる。
亀ちゃんさっき、落されたことは水に流せ的なこと言ってなかった⁉
え、えーとアタシはちょっと文句言いたかっただけですので、そんなに怒らなくてもいいのですよ二人とも。と言おうと思ったがやめた。なんかアタシまで怒られそうな気がしたから。
「歌柳院小夜様は、準備がありますので、どうぞ―――」
「ダメよ! アタシも話を聞くわ」
「歌柳院小夜様の慰安コンサートの時間がせま―――」
「黙れ!ポンコツ!」
こ、こぇぇぇぇぇ!
小夜にこんな一面があるなんて知らなかった。
まぁ、アタシが小夜と過ごしたのは、タワー外の慰安コンサート期間の3日間だけだったから、知らない事なんてたくさんあるんだけど……。
まったくついて来ようとしない小夜に対し、小夜を案内しようとしていたアンナロイドは、アタシ達を案内しようとしていたアンナロイドに並び、2機揃って振り返る。
「歌柳院小夜様」
「飛鳥 翼様とその協力者の皆様」
「「マザージュピターが、この度の件の謝罪及び、今回の行動に至った説明をさせて頂きたいと申しております。その上で、慰安コンサート及び、人質救出の為の28階への潜入に、ご協力頂きたいとのことです。仮設いたしました臨時作戦室に、お越しいただけないでしょうか?」」
声を揃えた2機のアンナロイドは、静かにアタシ達の返事を待った。
「28階潜入チームの皆様、お疲れ様です。マザージュピターより、協力及び作戦の提案がございます。臨時作戦室を仮設しておりますので、どうぞこちらへ」
2機のアンナロイドはこちらの返事を待つことなく、二手に別れて歩きだす。
「えー、
「先程、殺そうとしてきておいてよく言いますね」
特に提案を蹴るつもりではなかったが、嫌みのひとつでも言わなきゃやってられなかった。
「歌柳院小夜様、今回の慰安コンサートはソロとなります。ご容赦ください」
「その件に関しましては誤解が―――」
「ちょっと、どういう事! ジュピター! 説明しなさい! 翼ちゃんを殺そうとしたってどういうことよ!」
振り向きもせずに言い放たれたアンナロイド達の言葉に、これまで緊迫感の欠片もなかった小夜の空気が一変した。
しかも反応したのはアタシの言葉。
アタシだけじゃなく、潜入チームと小夜の護衛達も、小夜の豹変ぶりに驚きの目を向ける。
小夜には琥珀お嬢様を助けるために28階に向かおうとしていることは説明したが、そこにいたる経緯までは話していなかった。
とはいえ、この反応は少し過剰すぎやしないか?
「マザージュピターに飛鳥 翼様への殺害の意志は―――」
「ジュピターにその意思はなくとも、ジュピターが今回とった行動は、人を殺しうるものでした。もう200年も人間を見続けているジュピターが、そのことに気づいていなかったはずはありません」
こ、今度は亀ちゃんだ。小夜のように怒鳴りこそしていないものの、なんだか静かな怒りを感じる。
亀ちゃんさっき、落されたことは水に流せ的なこと言ってなかった⁉
え、えーとアタシはちょっと文句言いたかっただけですので、そんなに怒らなくてもいいのですよ二人とも。と言おうと思ったがやめた。なんかアタシまで怒られそうな気がしたから。
「歌柳院小夜様は、準備がありますので、どうぞ―――」
「ダメよ! アタシも話を聞くわ」
「歌柳院小夜様の慰安コンサートの時間がせま―――」
「黙れ!ポンコツ!」
こ、こぇぇぇぇぇ!
小夜にこんな一面があるなんて知らなかった。
まぁ、アタシが小夜と過ごしたのは、タワー外の慰安コンサート期間の3日間だけだったから、知らない事なんてたくさんあるんだけど……。
まったくついて来ようとしない小夜に対し、小夜を案内しようとしていたアンナロイドは、アタシ達を案内しようとしていたアンナロイドに並び、2機揃って振り返る。
「歌柳院小夜様」
「
「「マザージュピターが、この度の件の謝罪及び、今回の行動に至った説明をさせて頂きたいと申しております。その上で、慰安コンサート及び、人質救出の為の28階への潜入に、ご協力頂きたいとのことです。仮設いたしました臨時作戦室に、お越しいただけないでしょうか?」」
声を揃えた2機のアンナロイドは、静かにアタシ達の返事を待った。