第3話 文学賞を受賞後。小説のモデルになった変態男に呼び出され、逆らえない柚希

文字数 1,285文字

【文学賞を受賞した柚希は昔の交際相手の男に呼び出される】
【不安な気持ちで男の待つホテルの部屋に入る柚希】
遅くなってごめんなさい
随分と久しぶりだね、9年ぶりかな。元気そうじゃないか
呼び出したりしていったい何の用なんですか、私貴方とはもう二度とお会いしたくないんです
【忘れたくても忘れられない男の顔を見て、気持ちが揺れる柚希。男は柚希がアルバイトしていたコンビニの店長だ】
先ずは、文学賞受賞おめでとう。とってもよくかけているね、読んでいて俺だとすぐ分かった
私貴方に読んでもらうために書いたんじゃありません
俺の事が忘れられないんだろう、俺の言った言葉の一つ一つが全部小説に書いてあるぜ、図星だろう
小説に書いてあるのは全部、お前の本心なんだろう。俺に読んで欲しくて書いたんだろう
誤解なさらいで下さい。私はもう昔の私じゃないんです、文学賞の新人賞を受賞した小説家なんです
もうあなたとは二度と関わりあいになりたくないんです
そんな強がりを言っていいのかな、新人賞を取れたのもみな俺のお陰だろう。俺に感謝しても良いはずだぜ
やめて下さい、言うことはそれだけですか。私もう帰らせて頂きます
そんな強がりを言っていいのかな、帰る前にこのビデオを見て貰おうか
【部屋の液晶テレビに投稿サイトに掲載されたビデオが映る。映っているのは全裸で縛られた柚希】
【太い荒縄が身体に食い込む感触を思いだして、柚希は思わず身震いをした】
どうだ、忘れたとは言わせないぞ、このビデオは投稿サイトに俺が載せたんだ、ビデオは他にもいっぱい有るんだぜ
どうゆうことなんですか、このビデオ誰が映したんですか。どうして投稿サイトになんか載ってるんですか
俺が映したに決まってるだろう。週刊誌に売り込んでもいいんだぜ、自分の立場が分かってるのか、お前は俺には逆らえないんだぜ
お願い許して下さい。私が新人賞を取った小説は映画化されてもうすぐ公開予定なんです
週刊誌にでも載ったら映画の公開が中止になっちゃいます。小説だってもう書けなくなります
いうことが聞けないなら、どうなるのか分かってるんだろうなこのビデオを週刊誌に売り込んでいいんだな
【もうどうにもならないと諦めて、涙ぐむ柚希】
なんでも言うとおりにさせて頂きます。どうかお許しくださいませ徹郎様
どうやら自分の立場が少しは判ったようだな。昔の事を思いだしたらもう我慢できないはずだぜ
たとえどんなにお前が忘れたくても、お前の体は俺の事が忘れらないはずだぜ、そうだろう
【本心を見抜かれてもう自分の気持ちを隠しきれない柚希】
私本当はあなたにまた会いたくてあの小説を書いたんです。あなたにまた可愛がって貰えればもう映画の公開が中止になってもかまいません。小説家になんかならなくてもいいんです。徹郎様にまた会えて私本当に幸せです
そうだそれでいいんだ。お前は俺には逆らえないんだ。分かってるな。お前は俺の奴隷だ
【昔みたいに徹郎に可愛がって貰えると期待して嬉しさがこみ上げてくる柚希】
おっしゃる通りでございます。徹郎様
じゃあ望みどおりにしてやるぜ

【徹郎さんは柚希をベッドに押し倒すと、唇を重ねてきた】


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登場人物紹介

女流官能小説家七度柚希

小説家田村康二

文学春秋社社員

文学読物新人賞選考委員江村純

柚希の昔の交際相手

小説家江村淳の読者の女

露天風呂の変態男

新聞の拡張員

中学校の同級生

勝手にラブホテルの部屋に入ってきた男

受け付けの女

自作の小説を持って訪ねてきた男

マッサージ師

出会い系サイトの男

先輩の小説家の五島由利夫先生

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