第11話 取材先の大阪で先輩の小説家に出会った柚希。カラオケに誘われる。

文字数 1,584文字

【新作の小説の取材のために大阪に旅行した女流作家の七度柚希】
【大阪の駅前で小説のネタになりそうな串揚げの店に入ると見慣れた顔がいるのに気がついた】

【先輩の小説家の五島由利夫先生だ】


【そういえば先生は大阪出身で、先生の小説家には串揚げの店がよく出てくる】


先生お久しぶりです
【柚希が声をかけると五島由利夫先生は驚いた顔をしている】
いやあ誰だと思ったら柚希ちゃんじゃないか、こんな所で何してるんだ
新作の小説の取材に来てるんですよ。この串揚げ屋はよく先生がいらしてる店ですよね
いや確かにそうだけど、こんな所で柚希ちゃんに出会うなんて奇遇だね
そのせつはお世話になりました、先生もお元気そうでなによりです
ともかく一杯飲みたまえ、この店は焼酎も美味いんだ

【五島由利夫先生に勧められたら飲まないわけにはいかない】


ではちょっとだけ頂きます

【しばらく一緒に串揚げを食べながらおしゃべりをしたあと、五島由利夫先生が支払いを済ませてくれた】


どうも申し訳ございません
いや俺も男だから、女の子に支払いをさせる訳にはいかないからね
いつもお世話になってありがとうございます
柚希ちゃんこの後予定がなにかあるかな
とくにありませんけど
だったら僕とカラオケにいかないか、二人でデュエットしたいね
私カラオケ苦手なんです
大丈夫練習すればすぐ上手になるよ、僕も最初は下手だったから
でも私となんかと一緒でいいんですか、ほかに素敵な女性はいっぱいいるんでしょう
柚希ちゃんはとっても素敵だよ、美人だしスタイルもいいし、なにより器量がいい

【五島由利夫先生の誘いを断るわけにもいかない】


この近くですか、先生がいつもいらしてるカラオケ店は
ああ、歩いてすぐだよ
じゃあ、お言葉に甘えさせて頂きます

【串揚げ屋を出てしばらく歩くとラブホテルらしい建物の前に来た】


【五島由利夫先生がいっていたカラオケ店というのはどうやらラブホテルの事だったらしい】


ここラブホテルですよね
ここはラブホテルだけどね、カラオケの設備が凄いんだ
大きなステージがあって、照明も凄くてまるでプロの歌手が歌ってるような気分になれるんだよ
その辺のカラオケ店の個室なんかとは全然違うんだ

【ラブホテルに男性と入るのはなんだか不安な気がしたが、五島由利夫先生がそんなに薦めるならしかたない】


【部屋に入ると確かに大きなステージが中央にあって天井にはミラーボールもある】


じゃあ、さっそくデュエットで僕の好きな曲を歌おう

【五島由利夫先生がカラオケの装置を操作するとデュエットの曲の伴奏が始まった】


【柚希はあまり上手に歌うと五島由利夫先生に嫌われると思ってわざとたどたどしく歌った】


【何曲か歌った後、五島由利夫先生が一休みして冷蔵庫から飲み物を取り出した】


【柚希は気を利かせて冷蔵庫の上に置いてあるグラスに飲み物を注いだ】


ところで柚希ちゃんこんど僕の名前の文学賞を作る事になってね
僕の気に入った小説を選んで受賞させることになってるんだ
それは凄いですね
柚希ちゃん。五島由利夫文学賞の新人賞を書いてもらえないかな
それってどうゆうことですか
いやね、文学賞に応募してくる作品なんてたいしたことないから僕の気に入った小説を柚希ちゃんに書いてほしいんだ
そんなことしてもいいんですか
全然かまわないんだ、なにしろ僕の名前の文学賞だからね
でもどんな小説を書けばいいんですか
簡単だよ、僕と付き合ってその体験をそのまま書けばいいんだ
先生と付き合うってどうゆうことですか
もちろん男と女の付き合いだよ、柚希ちゃんも子供じゃないんだから分かってるだろう
でも困ります私
困ることはないだろう、文学賞を取った後は映画化することももう決まってるんだ
柚希ちゃんもその方がいいだろう
柚希ちゃんもその方がいいだろう
先生。私
【柚希は半分言いかけたが後の言葉が続かなかった】

【五島先生は柚希をベッドに押し倒すと、唇を重ねてきた】


ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

女流官能小説家七度柚希

小説家田村康二

文学春秋社社員

文学読物新人賞選考委員江村純

柚希の昔の交際相手

小説家江村淳の読者の女

露天風呂の変態男

新聞の拡張員

中学校の同級生

勝手にラブホテルの部屋に入ってきた男

受け付けの女

自作の小説を持って訪ねてきた男

マッサージ師

出会い系サイトの男

先輩の小説家の五島由利夫先生

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色