第4話 天使長ミカエルのガイダンス

文字数 1,442文字

「あれっ」
言葉を発した瞬間、何故か雅は身体全体が、眩しいオレンジ色の光に包まれたことを感じた。

雅は、あまりのまぶしさに目を開けることが出来ない。
それに、身体全体が熱い。
汗かきの体質ではないのに、汗が噴き出している。
そして奇妙なことに 両手を伸ばしても 何も触れるものがない。
両足も空に浮いているようだ。
「どうしたことだ・・・」
奇妙さは、感じる。
しかし、不安な感覚はない。

「落ち着くがよい」
いきなり、頭の上から声が聞こえて来た。
いかにも、厳かな声といった感じ。

「この時代の大天使ラファエルに君を指定した」
「私が、天使長ミカエルである」

「・・・いったい・・・どうして・・・僕に・・・」
かろうじて声を出すことが出来た。
しかし、唇が震える。

「君が生まれた時から決めてあったことだ」
「そして、その時が来た」
厳かな声が応える。

「生まれた時から・・・」
よく意味がわからないでいる。

「君は弱かった。そして、何度も死にかけているだろう」

「う・・・」
子供の頃から病気がち、入院が多かった。
つまり、まともには育たないと噂されていたことを、両親から聞いたことがある。
そのうえ、交通事故には数回・・・
タクシー乗車時の正面衝突、バス乗車時の側面衝突、自転車でトラックに跳ね飛ばされたこともある。
しかし、ひどい病気の状態にはならず、事故も幸い軽傷で済んでいる。

「つまり、このミカエルは、君を守って来た」
「生まれた時からだ」
厳かなミカエルの声である。

「はい」
心に、すんなりとミカエルの言葉が染み透って行く。

「これからも ミカエルそして他の天使たち、この国の精霊たちも、君を守る」

「ありがとうございます」
雅の心の底から、すんなりと感謝の念が湧き上がってきた。

「任務は、正義と慈しみを、その必要な相手に施すこと」
「その対象も、君が、必要と思った対象でよい」

「わかりました。命をかけて・・・」
雅が、そう言いかけると

「いや・・君は人間の行為では命を落とさない」
「その心配はない」

「・・・」
意味がわからないでいる。

「今はその意味は、理解できないだろう」
「任務についた時に、自然と理解することだ」

「・・・はい」

「とりあえず、君の現実面での相棒に、天使の中からガブリエルを付ける」
「ガブリエルは雅君をここまで連れて来た祥子さんだ」
「これが、私からの最初のガイダンスである」
ミカエルの声は、一段と雅の耳に大きく響いた。

途端に、身体全体が大きく揺れた。
そして、再び首相が前に、祥子が右隣に座っていることを認識した。

「さて、ラファエル様」
首相が口を開く。
「我が日本の行政府の長として、これを説明しなければなりません」
首相は、一枚の金色のカードを雅に差し出した。

「このカードは、日本国内の全ての交通機関で使えます」
「また、全ての公共施設に、入室可能です」
「また、全ての旅館他、宿泊施設でこのカードを示せば、宿泊が可能となります」
「その他、様々な機能がありますが、詳しくは隣のガブリエル、祥子様にお聞きください」
「それから、祥子様には、日本政府として内閣特別調査官をお願いしております」
「そして、あなたの生活自体は、特に学園を変わることもありませんし、住宅が変わることもありません」
「大学を目指す高校生として、勉学に励んでください」
「その中で、雅君の気がついた範囲で、ラファエル様の御力を是非、使っていただきたいのです、それが任務となります」
「さて、私からの説明は以上となります」
首相は、そこまで言い終えてほっとしたのか、ようやく微笑んだ。
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