角砂糖と指切り(2022文芸思潮現代詩賞佳作)

文字数 313文字

角砂糖はとうに
諦めてしまいました
甘いものはこりごりです

やくそくは破るもの、
とあなたのあの日は嘯き
今、永遠のあなたが
このコーヒーカップに浮かんでいる

銀の匙でくるくる、と円を描くと
こつこつ、という規則的な音で
あなたのしろいろの第二関節は
ゆるやかに瓦解していくのです

角砂糖はとうに
飽きてしまいました
甘いものはこりごりです

銀の匙でこりこり、と骨をつつくと
浮き沈みを規則的に繰り返して
あなたのしろいろの小指の骨は
珈琲に溶けていくのです

溶けきらずざらめのように 
きらきらと沈殿するあなたの小指の骨

あなたを咀嚼して
容赦なく体内に消化する
つもりでしたけどやめました

甘いものはこりごりですが
苦いものもこりごりです 

指切りげんまん、嘘ついたから。
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