第12話 何かってなに?
文字数 700文字
化学の教科書を上にして直樹が貸してくれた本を下に敷く。この姿は直樹には見られたくない。期末の化学のテスト90点以上で、直樹とのプチデート券をゲットできるけど、真面目に頑張った感を出すのが許せなかった。普段直樹の前では素直すぎていじってしまうのに、変なところでプライドが邪魔してくる。
ピザ屋の裏口のドアに手をかけている直樹。未百合は駆け足で近寄る。
化学の教科書を秒で隠して小説を見せた。
瑠璃が教室で言っていた毒舌が、直樹に聞こえていたかもしれない。それが脳裏によぎって口数が少なくなる。
聞こえてなかったようで、胸を撫で下ろした。
バレてしまったから仕方ない。でも楽しく話せるならなんでもいいって思って普通に振る舞った。
そう言って、宗一郎はピザ屋の中に入って行った。