02 一つ目の部屋(延長戦)

文字数 3,253文字

 岸川さんは鏡の方に行きました。

 鏡を見に行くと、その鏡の中で岸川さんの背は伸びて映っていました。

 その横の鏡をみると、今度は太って見えます。

 さらに別の鏡をみると、左右が反転しない、等、被写体が様々な形に変化する鏡が、壁全体のあちことに設置されているようです。

マジックミラーみたいなのが下がってますねえ
 岸川さんが確認すると、鏡は普通に外すことができそうです。
さっきの時計のやつで使こたらよかったんちゃうか……。

なんか、いるなら取れそうですけど?

 安田さんに声をかけると、安田さんは床に這いつくばっていました。

 床に触ると、床は硬いような柔らかいような印象を受けます。とても不安定な感じです。

んん〜?

なんかこの床、不思議な感じがするスけど。硬いような、柔らかいような……。

なるほど。硬いような柔らかいような。
なんか不安定な感じがしますね、この床。
 岸川さんは安田さんの言葉を聞き、鏡の横の壁を触ってみると、壁も床と同様、硬いような柔らかいような不思議な感じを受けます。
なるほど、壁もおそらく同じ素材ですねえ。


ほー
 岸川さんに答えながら安田さんは床に転がり、天井を見上げました。

 

自由な人やなあ
 地面にゆっくりと横になっても、ふわっと柔らかい感触がしましたが、横になってみると硬くなりました。
全面この素材でできてるんでしょうねえ
そうなってくるとこの先の部屋も気になりますねえ
確かに
なんでこんな素材なんやろ。

まあ、怪我せんような素材やからよかったっちゅうことにしときますか

 不意に安田さんが強めに床を叩きました。

 直後、安田さんの手に、床を叩いた衝撃が返ります。

1d3のダメージ、どうぞ
痛い!!

安田酢太郎:1d3 → 2

では2のダメージを
想像以上に痛い! なんだこれ!
何してるんですか
なんだこれ! なんか衝撃が直で戻ってくるような感じでしたよ。
直で戻ってくる……
なんて言うんだろう……
あの、床を叩いたんですか?
床叩いたんですけどね
こんな柔らかい素材なのに?
 岸川さんが床を撫でると、撫でた瞬間は柔らかく感じますが、もう一度触れると硬い。そんな感じを受けました。
よぉわからんですねえ……
不思議っすな、この素材。

岸川ほづみ:【応急手当】1D100<=30 → 32 → 失敗

 岸川さんは応急手当をしようと試みますが、持ち歩いているはずの救急セットが手元にないことに気づき、応急手当はできませんでした。

 安田さんはおとなしく、痛む腕をさすります。

すんません……。
いてててて……
とりあえず、こうなってくると、ここに居るのもちょっと怖いですねえ。
確かに。よくわからんスからね、ここ。
どないしましょ。

もう先に行ってみましょか。他、みたいとこあります?

そうですね。

いや、特には本の中身、ぺらってめくりたい気はしますけど。

中は見たんでしたっけ?

見た感じでは、普通の内容やったと思いますけど、見てみてもええですよ?
じゃあ、かしこまりー
 安田さんが本をめくってみると、中身は誰もが知っている「狼少年」「ピノキオ」「裸の王様」の物語です。
ほづみさんと酢太郎さん、ちょうど一緒にいるんで、目星を。

岸川ほづみ:【目星】1D100<=76 → 43 → 成功

安田酢太郎:【目星】1D100<=75 → 8 → スペシャル

ふと気づきます。

本はあまり入っておらずスカスカですが、何か、不思議なスペースが空いている。

何か入っていたのか。そう思わせるようなスペースが空いていますね

……もう一冊、何かあったんですかねえ?
……そういうことなんスかねえ?

今ある本がぴたっとはまるわけじゃないっすよね。……はまりそうなものは今は持ってないっす。

みる限り、そうですね。まあ、この先にも部屋があるみたいやし、そっちに何かあるのか……。
行ってみますか?

「この棚は動かせるのだろうか」

 ふと思い立った岸川さんが本棚を動かそうとした時、気がつきました。

 太って見える鏡に映っている本棚は、裏側や側面が映っていません。

 あなたがいくら見方を変えたとしても、なぜか本棚の裏側や側面は写りません。

 そのような奇妙な光景に、あなたは恐怖を感じます。

SANチェックです。(0/1d2)

岸川ほづみ:【SANチェック】1D100<=62 → 30 → 成功

 背が伸びて映る鏡を岸川さんは見ますが、その鏡もやはり正面を写しています。

 岸川さんがすべての鏡を見てみると、「左右が反転しない鏡」には、本棚の側面を写していることに気づきました。

どうしたんスか?
ビックリせんといてくださいね?

鏡ん中に映っとる棚が、全部正面なんですわ。この棚の後ろとかが映らんくて。

またまたァ!
 安田さんも確認してみましたが、やはり、本棚はこちらをみるようにその正面だけを写しています。
うぉお
あなたもSANチェックです。

……まあ、教えてもらったので、成功で0、失敗で1ですね。

安田酢太郎:【SANチェック】1D100<=58 → 47 → 成功

ほんとっすねえ? よく気づきましたね、ほづみさん
 鏡の中には側面や裏側が写りません。

 しかし、自分たちの肉眼では、普通に棚の側面や裏面をみることができます。

不思議ですねえ。

左右が反転しない鏡だけ、本棚の側面が映ってる……

うーん
……鏡外して、ぐるっと回ってみるか?

でもそれをしたことによって何が得られるかちょっとわからんしな……。

どうします? 保留して、先に進みますか?

そうですねえ。

……鏡持って行った方がいいっすかね?

でも
はい?
この左右反転する鏡でそのスペース写したらなんか映ったりせえへんのですかね

なにかこう、真実の鏡的な感じので何かが見えるとか?

そうそう
やりましょ!
 少し大きめですが、左右反転しない鏡を持つことができました。

 その鏡を使って本棚の正面を写してみると、本棚の空きスペースと同じ箇所に、鏡の中では一冊の本のようなものが置いてあるのが見えました。

ほう……、ラッキー。
ほっほーう、すごい
 岸川さんがみる限り、本にはタイトルはありません。
この鏡やと写りますねえ
 鏡の中の本に、触れるのではないか。

 岸川さんが、鏡を見ながらそのスペースに触れると、指は確かに、なにかに触れました。

へえ、触れるんや。
じゃあ中も見れそうじゃないですか
 本を引っ張り出すと、本は取り出すことができました。

 その本は、どうやら手記のようです。

 手にした本を開くと、そこにはこのような内容が書かれていました。

この頃ひどく辛いと感じる。皆私が怒らないからと、笑って許してくれるからと言う。でも、本当はきちんと言ってやりたいの。「私はそれを聞いて悲しくなった」と。本当は言いたいのに、建前を言う癖がついてしまっている。
あの子に辛い思いをさせている。私は生まれてきてはいけなかったのだろうか?
私はどっちも大好きなのよ。でも、あの子が私をここに閉じ込める。それでも、あの子は涙を流せないのよ。そんなのおかしいよね。あの子は嘘つきなんかじゃない。ただ優しいだけなのよ
綿で絞める。蜜で溺れる。優しいのは辛い。甘いのは苦い。
ここで、ほづみさん。アイデアをどうぞ

岸川ほづみ:【アイデア】1D100<=70 → 76 → 失敗

誰かの、手記でしょうねえ。


ぽいですよねえ。
酢太郎さんも、アイデアどうぞ?

安田酢太郎:【アイデア】1D100<=60 → 32 → 成功

 安田さんは、筆跡がすべて同じものだと気づきました。
これ全部同じ筆跡……ってか書いた人同じっぽいですね
ああ、ほんまですねえ
 岸川さんは本を棚に戻すと、鏡も本棚に立てかけます。
今んとこ、こんなところくらいですかね
 安田さんは本棚に立てかけた左右反転の鏡を抱え上げ、扉にある時計の絵を写しましたが、その内容は読みにくいまま、特に変化はありませんでした。
さあ、じゃあどうしましょか? 先に進みますか?
そうですね。せっかくドアも開いたし。
とりあえず、気になることもないようやし
 扉に近づくと、安田さんは「ガチャ」と言いながらドアをあけました。
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登場人物紹介

★安田酢太郎

 酢とナメクジを愛するバックパッカー。

 冒涜的な出来事は、ついに3回目。


 1回目 【TRPGリプレイ:しゃりん卓】指定席

 2回目 【TRPGリプレイ:しゃりん卓】ヘビの屋敷

★岸川ほづみ

 タバコをこよなく愛する私立探偵。

 リアル推理とへっぽこ理論で勝負。


 1回目:【TRPGリプレイ:しゃりん卓】這いよるのは……

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