04 最後の部屋

文字数 5,497文字

 安田さんも一緒に扉を開けました。

 部屋には二人の女性がいます。


 そのうちの一人は床に座り込み、もう一人は座り込んだ女性の上で何かに座っているようです。

 目を凝らしてよく見ると、下の人は透明な箱に入っており、もう一人は、その上に座っていることがわかります。


 部屋に入ってくることに気づくと、上に座っていた女性が立ち上がり、あなたたちの方に笑いながら語りかけます。

ようこそ! 私の部屋へ!

これから最後の問題を出すよ!

 驚きつつも部屋全体を見渡すと、二人の女性、片方が入っているような透明な箱以外は何もありません。

 しかし、先ほどまでの立方体の部屋ではなく、まっしろく、遠くまで続いていることがわかります。


 そして、後ろを振り向くと先ほどでてきた扉が消えていました。

 あなたたちが持ってきたはずのものも、全てなくなっています。

ペン、なんやったんやろうな……
なかなか面白いね、安田さん!
面白いねえ!
やっぱり?
めっちゃ面白いわ
困ったなあ
 透明な箱を遠目に見てみると、鍵などはついておらず、蓋もないようです。

 透明な箱の内側には、叩いたような跡があります。

ここであなたは目星をどうぞ

岸川ほづみ:【目星】1D100<=76 → 86 → 失敗

安田酢太郎:【目星】1D100<=75 → 77 → 失敗

佐々木 千冬:【目星】1D100<=70 → 2 → 決定的成功/スペシャル

見た感じ、中の女性と外の女性は瓜二つ……双子のような感じがするけど、もしかしてあそこにいる女性って、ジョストリアの……。

ほら、君たちも聞いたかい? 女子会みたいなテーブルがあっただろう?

あそこでーーなんというか、責められていたっていうのは、彼女に悪いかもしれないけれども、浮気してる、とか言われていた女性じゃないかい?

言われてみると……
酢太郎さんは「アイデア」ですね

安田酢太郎:【アイデア】1D100<=60 → 19 → 成功

 安田さんはかすかに、ちらっと見た覚えがあるなと思い出します。

 岸川さんは、「確かにそうだ」と確信を得ました。

いや、いなかったっしょ!
ひどいなあ安田さんは
君は、あれだ、面倒くさいな?
 しょんぼりと安田さんは地面を見つめています。

 ……すこし話してどうにかならないか。岸川さんは不意に思い立ちました。

精神分析、振ってみてもいいですよ
(外したら諦めよう)
(外したら許さない)

岸川ほづみ:【精神分析】1D100<=75 → 47 → 成功

 様子のおかしい安田さんを正気に戻そうと色々と話してみますが、安田さんの様子は変わりません。
まあ、あれやな。拾ったもんは食うもんやないってか……

食うたらあかんっちゅうことやね

いいや、俺は食うね!
 佐々木さんはくすくすと笑っています。
なんか、逆になっとるみたいやし、優しい目で見守ったろな。

岸川ほづみ:【目星】1D100<=76 → 70 → 成功

 中にいる女性をよく見ようと岸川さんは視線を向けました。

 中にいる女性も外にいる女性も、美しい顔立ちをしていることがわかります。

 中の女性は、外の女性と比べると、無気力そうな状態のようです。その女性の両手の甲には擦り傷が見えました。

ふふふ……
どうしたんだい、安田さん

……とりあえず、こちらを見てニコニコ笑ってこちらを見ている女性に話しかけてみるのがいいんじゃないかい?

せやねえ、もうそれしかないしなあ?
やめたほうがいいよ!
じゃあやめましょうか
いや、もうあれの言うことは聞いたらあかんから
 何か進もうと意気込んでいるようでしたが、安田は静かに後ろに下がりました。
なんなんやろな、あの子。まあええわ
 岸川さんは外にいる女性に向かって話しかけます。
ジョストリアにいた人ですか?
ええ! そうですよ!
自分たち、気づいたらこんなところに居ったんですけど、あなたも?
いいえ? 私はもともとここにいました。
そうなんやなあ、なるほど。


君たちはここから出たいの?
でたくなーーーい!
ああ、それは残念ですね?
あなたはここで何してるの?
うーん
何かを待ってる?
私もよくわからないんですよね。

とりあえずここにいて、あなたたちにこの問題をといてもらおうと思っています。

この問題に答えれば、ここから出る唯一の方法を。

あなたたちは、問題を知っているはずですよ? さあ、「嘘つきは誰ですか」?

 彼女がにこりと笑った瞬間、あなたたちの手の中に、紙が握られていました。

 しかし、先ほどまでと違い、問題文は一文しか書かれていませんでした。

さあ! 嘘つきはだれ!
これは私たちの名前だね
せやねえ
これはなかなか……なんとも……
今の状況からいうと、一番ややこしいのは安田くんやろうな。
まあ、安田さんは……大変な立場ですね。
正直言うとることとちぐはぐになっとるしなあ?

うーん……。

岸川さん、何か引っかかってるのかい?
質問は「嘘つきは誰か」やんなあ?

……どうやろ、千冬ちゃんがどう思っとるかわからんけど、僕の目線……僕のコメント?

「佐々木か安田の少なくともどちらか一方が嘘つき」ていうのは、まあ、自分にとっては「真」の状態やから。


あとは二人がどう思とるかちゃうん?

自分が、そのコメントの時、嘘をついているかどうかやないん?

僕は、二人ともーー、ここまで二人に解いてもらったし、ここも二人にお願いする。
そうだなあ……
でも、そうだなあ……
まあ、自分は……そうねえ……
とりあえず、あそこにいる中の女性は、ここからでたいとは思ってるみたいだね。
 安田さんが透明な箱の中の女性に近寄ります。

 外にいる女性は特に何もせず、横を通してくれました。


 中を見てみると、女性はやはり外の女性と瓜二つです。

 違うといえば、外の女性はニコニコ笑っており、中の女性は絶望したような表情をして、無気力な状態に見えます。

そうねえ、どうしたものかなあ
安田さんは
なんだい?
痴漢が好きみたいだね
痴漢? 好きだねえ。よくやるからねえ
やっぱりね!
ただのやばいやつやん
そんな褒めるなよぉ
ちょっとドン引きですわぁ。

……どう答えるんがええんやろうなあ?

問題は、正直者はだれ?
問題は「嘘つきは誰か」って言ったね
うん。嘘つきは、岸田と安田だと思うんすよ
岸田って誰やねん。ああ、僕か。岸川です。
ごめっ、ごめんなさい! 岸川や!

大変失礼いたしやした。

シークレットダイス:岸川ほづみ → 外の女性 > 心理学
岸川さんは、外の女性が、「自分は嘘つきであり、自分を殺してほしいと望んでいる」ように見えます
(嫌やなあ! 嫌なこと気づいたなあ!)
多分なぁ、一番最初の手記の子やないかなと思うねん。
そうなのかい?
俺はそうは思わん!
 そう言いながら、安田さんは首を振ります。
シークレットダイス:安田酢太郎 → 外の女性 > 心理学

外の女性ですか? 彼女は、「自分は嘘つきだ、私を殺してほしい」と思っているようです。


外の女性は正直者っぽいですね?
シークレットダイス:岸川ほづみ → 箱の中の女性 > 心理学
中の女性をみると「ここから外に出たい」と感じているようです。
……でも、自分で宣言してるから、嘘つきは外の女性ちゃうの?

って思てんねんけど。

俺はそうは思ワナイ
複雑やなあ、自分?

だんだん片言になっとるようやけど。

言葉に対して恐怖を持ち出したね!
ははっ! 上手いこと言うね! 大学生!
うふふ
せや、そんで、千冬ちゃんはどう思う?

今この場で嘘ついとるんやったら……。僕は、安田くんが嘘ついとる状態やから、一人も嘘はついてないと思うねん(紙の問題上)

俺もそう思う!
私の言ってることは、その通り。

二人とも「正直者だ」と私は思うよ?

あれ、いま安田くん、その通りって言うたってことは、反論ってことやんなあ?
ちょっとまって! うーん、も、もう一回言って? ほしくはない?
これまでの君たちの行動を見てから、二人とも正直者だと私は思うよ?

自分自身についてはよくわからないけど。

シークレットダイス:岸川ほづみ → 佐々木千冬 > 心理学
あなたは、千冬ちゃんが「嘘をついてるんじゃないか」と思いました。
(めんどくさいことになったなあ……)
シークレットダイス:安田酢太郎 → 佐々木千冬 > 心理学
千冬ちゃんはその通り、思っていると感じました。
……どないする?

嘘ついてるのは誰かっちゅう話やけど

 そういって岸川さんはちらりと佐々木さんを見ました。

 どうやら疑っているようです。

ええよ! 安田くんのーーでもなあ、安田くん言うてることがおかしいしなあ。

でも、自分、嘘つきやと……。

どっちがええ? 安田くんに任せよう、もう。
ええっ!! 困……らんけど……。
(絶賛大混乱中だからね、今)
(ロールの上でもな)
あんなん食べるからや
まずかっ、おいし、かった。
うん、まずかったんやな
めっちゃおいしかった。
めっちゃまずかったんやな
天にも登るような味やで?
地獄に落ちる味やったんやな
まあまあまあまあ、うんうんうん。
ーー今までの流れやと、一つ前んドアは「嘘つきは誰」で、嘘つきに指定した人たちは首ちょんぱされとったから、外の女性が望んでいるであろうことを考えると、彼女が「嘘つき」っていう宣言でええんちゃうかな、と思わんことはないねんな?

……せやけどなあ…

 岸川さんは佐々木さんをやはりちらっとみます。
僕は二人の回答に反対はしないさ。
ええ子やね、千冬ちゃん。

……どないする? 安田くん。

そうやねえ。
引きずられてるで(関西弁)
日頃から「や」とか言うし。

せやねー……

もう、君には任せられん!
安田くん、なんで飴食べてしもたんやろなあ
……外の女性でええと思うけどねえ…。

なんや、そういうパターンで八つ裂きにされたような記憶(同PL別PC)が……

何その記憶
 箱の横にいる女性。

 箱には蓋がなく、中の女性は出れないようです。


 持ち上げれそうにもなく、中の女性は、気づいているのか気づいていないのか、こちらの方をみる気配はありません。

(これ、選択肢は三人? 佐々木、岸田、安田から選ぶ?

 今言ってるのは、「そうじゃなくて外の女性を選択しろ、選択すればええやん」的な? 話? してました?)

問われたんは、「嘘つきは誰」やから、こん中におらんのやったら……
盤上をひっくり返すのかい?
っていう発想に僕やったらいたってまうけど、ええよ。

安田くんに任せるよ。

マカセル?

でもまともな答えしかできんよ?

まあ、答えは、君の中で決めたことを言ってくれれば、私たちはそれに従う、ということさ。
「嘘つきはだれか」……。
安田大迷宮……
……岸川さんは、どう思ってたんでしたっけ? 聞きたくないんですけど。
え〜?
えーってw そうなるわな!
いやいやいや、ほら!
いや、せやから。僕らん中には、嘘つきはおらんのやろ?

で、僕がみる限りは彼女自身は、自分自身を嘘つきやと思てるように見えるんや。

うんうんうん
せやから、彼女自身を指名するんがええんちゃうかなって思うんやけど
自分は、やっぱ回答はこの三人じゃないと……いけないこともないかな……。

三人以外でもいいんじゃないって思うんだけど。

三人の中やないとだめ?
どうかなあ
そうかなあ……

でも「三人の中から選べ」ては言われてないんよ。

うん
ご本人がそう思ってるように見えるんやったら。

僕やったら、彼女を指名してあげるんがええんちゃうんかなって。

「嘘ついてるでしょ」って言ってやったほうが、……手記とかみる限りな? 彼女のためになるんかなと思わんくはないんやけど。

まあ、そこの判断は、安田くんに任せますよ。

おーっす!
あーもしくは……
……今自分、めっちゃ正直もんじゃないっすか。
うん
だからーー
う、うん……。もしくは、あれや。うーんと。
佐々木ちゃんが、正直者なのかなって。

自分が正直者だから。……これ、喋れば喋るほど……。

……この三人の中にはおらんのやから、どうしてもその三人の中から選ばんとあかんのやったら、「三人の中にはおらへん」って言ってみるのも手やないん?

「嘘つきは、ここにはおらん」……ここには……。


ーーかといってねえ。目の前の人が死なれても寝覚め悪いし。

悪い。
この間一人、死に目に遭うたから……なおのことそう思うんやけど。

……おらんて答えてみるんも手やない?「おらん」て答えて、それじゃあかんって言われたら、また考えたらええやん。

それ以外で。
うん。佐々木ちゃんも……
GO!
うん……
ん?
じゃあ、俺が答えますかね
今どうなったんかよくわからんけどな? ええで、任せるよ。

「いない」でもええのかもね。彼女のことは置いといて。

それぞれの中で、不可能なものを全部除外して残ったものが、答えになるんだから、その答えを言えばいいと思うよ?
え〜〜、そういうわれると。

俺が正直者なのか、嘘つきなのか……。

君が一体どういう呪いにかかっとるか知らんけども
もう私、混乱しか招きません
知ってる
とりあえず、選択肢的には今の所、「外の女性」にするか「誰もいない」にするか
どうする? 実際、嘘はついてない……わけやし、それぞれが。
(PL的にはぁ)
ははは! きたぁ!
女子的な言い方やな。

おう、PL的にはなんや?

説明ができないっすぅ
じゃあ、PL会話間の相談タイムでいいっすよ。

千冬ちゃんが最後に……

感情というものをなくして、第三者の視点でもう一度問題を解いて、それで出た答えがまた、答えになるかもしれないんじゃない?
哲学者かな?
すごい今重要なこと言ったの?
感情は置いといて?
……じゃあ、PL間の相談タイムで。
<PL、大揉め中/主に岸川のへっぽこ推理を聞かされる安田のターン>
 外の女性は、しばらく待った後、安田さんと岸川さんに声を投げました。
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登場人物紹介

★安田酢太郎

 酢とナメクジを愛するバックパッカー。

 冒涜的な出来事は、ついに3回目。


 1回目 【TRPGリプレイ:しゃりん卓】指定席

 2回目 【TRPGリプレイ:しゃりん卓】ヘビの屋敷

★岸川ほづみ

 タバコをこよなく愛する私立探偵。

 リアル推理とへっぽこ理論で勝負。


 1回目:【TRPGリプレイ:しゃりん卓】這いよるのは……

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