01 ジョストリアから謎の部屋へ

文字数 3,032文字

 あなたたちは、とある飲食店に来ています。別々の席に座って、コーヒーだったり、ケーキだったり、ナポリタンだったり。思い思いのものを食べているでしょう。

 すると、ふと、あなたたちの近くのテーブルから大きな声が聞こえます

……ってさぁ、不倫とかしてそうだよね〜!
分かる〜!経験豊富そう
あっもしかしてこの前の人がそれなんじゃん?

 女子会にありがちな陰口。

 そんな感じだろうかとあなたたちは思うでしょう。

 しかし、続いて声がします。

いや、そんなんじゃないよ〜。不倫なんてしないよ!

 そう楽しそうに笑っているのは、先の発言の矛先の人物でした。

 それでも彼女達は楽しそうに食事やお喋りを続けています

二人とも、聞き耳をどうぞ

 岸川ほづみ:(1D100<=75) → 74 → 成功

 安田酢太郎:(1D100<=77) → 87 → 失敗

 安田さんは、食事に夢中だったんでしょう。そういった会話も、右から左に流してる感じですね。
うまーい! うまーい!
 岸川さん。あなたは誰かの声を聞きます。
……なんて、もういらない
 その声を聞いた岸川さん。そして、聞いていない安田さん。

 あなた達は食べているものが突然びりりと、舌に電気が走るように苦く感じ、脳がショートするような痛みを感じます。

 突然の痛みに、あなた達は頭を抱えて悶えます。

 そして、意識が途切れ、目の前が真っ白になっていきます。

 どのくらい、時間が経ったのかーー。

 あなた達はふと、目を覚まします。

はっ!
 すると、そこは見知らぬ部屋。そして、すぐ横には見知らぬ男性が一人います。
ここは一体……
 「安田酢太郎(やすだすたろう)」は起き上がりました。

 どうやらもう一人の男性も目を覚ましているようです。

………。
 「岸川ほづみ(きしかわほづみ)」は目を覚ましてすぐ、部屋の全体を見渡しました。

 そこは正方形の部屋のようです。

 天井を含めると立方体と呼ぶべきでしょうか。壁や床は白く、真ん中に低く小さい本棚があります。

 壁には、いくつもの鏡と一つの壁掛け時計がありました。そして、奥の壁には扉があります。

えっと……
はい
自分、岸川ほづみと申します。

どちらさんですか?

どうも。安田酢太郎と言います。
安田さん
はい、酢太郎です。
…………えっと。

……ここ、どこかご存知ですか?

いやあ、ちょっとわからないですね。気がついたらここに居たんで。
なるほど
ということはわからないということですよね? ほづみさんも。
そうですねえ。

さっきまではジョストリアに居ったはずなんやけど。

ああ、自分もですよ。

さっきまでジョストリアに居たんだけどねえ。なんかびりっと舌にきて。

困りましたねえ。

とりあえずなんやわからんし、調べてみますか

そうっすねえ。
 岸川さんは部屋の真ん中の本棚の方へ。

 安田さんはとりあえず出口を探そうということで、奥の扉の方へ向かいました。


 本棚は、カラーボックスサイズの木製のようです。中には数冊の本しか入っていません。

 岸川さんが本を取ると、それは3冊の童話でした。

 一つ目は、「狼少年」。二つ目は、「ピノキオ」。三つ目は、「裸の王様」。

 それ以外に本は入っていません。

なるほど
 本をパラパラとめくってみますが、普通の童話の本のようでした。

 3冊の本を棚の上に見やすいように並べた後、岸川さんは、安田さんの方へ様子を見に行きました。

 安田さんは、扉に近づいて
開くかなあ
ドアノブを回してみると、鍵がかかっているようでした。

扉は白く、硬い素材でできています。

ドアノブには鍵穴がありません。

ドア、開かないみたいですね
そうですか。鍵かなんかが掛かってる感じですか?
そんな感じですけど、鍵穴らしいものはないんですよねえ。
 岸川さんと話しながら、扉をよく見てみると、扉の少し上の箇所に四つ数字を入力する箇所がありました。
 上に……、数字入力する場所があるみたいですね。
ほう?
なんか、脱出ゲームみたいな……。

入力したら開きそうな感じですけどね。

 さらに、その数字を入力する箇所の上に、時計のマークが書いてありました。
 時計に気づいた二人。

 すると突然、どこからともなく誰かの声がします。

 それは、部屋の隅からのような、自分の耳元からであるような、不思議な聞こえ方です。

一つ目の質問。

今から三時間半後は何時?

誰のものかもわからない、気味の悪い声を聞いたあなた達は、SANチェックです(0/1)

岸川ほづみ:1D100<=63 → 96 → 致命的失敗

酢太郎:1D100<=59 → 76 → 失敗

2人とも1マイナスですね。
なんか今聞こえましたね
なんやわからんけどこういうこと多いんですよねえ。

この間もえらい目に遭いまして

ほお……
ま、ええですわ。

「今から三時間半後は」でしたっけ。

って聞こえましたな
今の時間……?
 安田さんは時間を確認するためにスマホを取り出そうとしますが、ポケットを探ってみても、スマホはありません
ああっ! スマホ落としたっ!
 さらにあなたは気づきました。

 いつも持っているバッグも、背中にはありません。

……酢がない…。

荷物……なくなってるー……。

 その声を聞いて、岸川さんも確認しますが、岸川さんも安田さん同様、何も持っていないことに気づきました。
ふー…。タバコもないんか。

ま、取り上げられたんでしょうね。こんなところに閉じ込めてくるくらいやし。

うーん……そうでしょうね、確かに。
まあええわ。早ようでましょうや。

とりあえず、三時間半後でしょう? この部屋で時間見れるもんはあの時計くらいやから、あれの三時間半後っちゅうことでええんとちゃいます?

うん、いいと思います。……ということは何時だ?

……7時40分?

7時40分でしょうねえ。
11時10分。三時間半後は、11時10分でしょうねえ。
ふんふんふんふん、確かに。そうっすね、11時10分。

「1」「1」「1」「0」って。

そうですねえ。入れてみますか
じゃあそれで
 かちかちっと、数字を入れると、ジリリリリリリという目覚まし時計のような音がなり、「かちゃん」と鍵が外れたような音がします。

 安田さんはびっくりしましたがどうやら鍵は開いたようです。

開いたかもしんないっすね!
 安田さんがドアノブを回すと、がちゃりと、ドアが開きそうです。
お、開きそうっすよ!
……開けんといてくださいね
 歩み寄った岸川さんは扉に耳を当てます。

岸川ほづみ:【聞き耳】1D100<=75 → 93 → 失敗

 扉が分厚かったのか、それとも自分の心臓の音がうるさかったのか。

 向こうの音は聞こえませんでした。

 岸川さんの様子を見て、安田さんも扉に耳を当てます。

安田酢太郎:【聞き耳】1D100<=77 → 87 → 失敗

何も聞こえないっすね!
あなたは、自分の心臓の音しか聞こえません。
この状況だから仕方ないな
ま、しゃあないでしょうねえ
ドキドキするよ!
どうします? この部屋もうちょっと調べてみるか……もう行くんなら先に行ってもええですけど。
ああ、そうでした。

本棚ん中には本が3冊入っとりまして、「狼少年」「ピノキオ」「裸の王様」……。

どれも「嘘つき」の話でしょうねえ。

おおお! かーしこいっすねえ!

ってアホのこやん!

ふふふ、変わった人ですねえ
確かに、なんかそういう選び方をされてるのかなっていう。

……もうちょっと見ていっていいですけど、別に。なんかいろいろありますよね? この部屋

そうですねえ
 岸川さんはそのまま、鏡に向かいました。
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登場人物紹介

★安田酢太郎

 酢とナメクジを愛するバックパッカー。

 冒涜的な出来事は、ついに3回目。


 1回目 【TRPGリプレイ:しゃりん卓】指定席

 2回目 【TRPGリプレイ:しゃりん卓】ヘビの屋敷

★岸川ほづみ

 タバコをこよなく愛する私立探偵。

 リアル推理とへっぽこ理論で勝負。


 1回目:【TRPGリプレイ:しゃりん卓】這いよるのは……

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