(二)-20

文字数 358文字

 ある夜、「どうしても」とお願いされたので、見せたくなかったが、服を脱いだ。和尚は恵美里のおなかを見て、驚いていた。しばらく気まずい沈黙が流れてから恵美里は「和尚さんのせいではないよ」と笑顔を見せた。和尚さんは「事情は色々あると思うけど、しばらくここにいていいんだからね」と言った。
 その数日後、寺に若い女がいるという噂が近所にたった。寺の敷地の墓の掃除をしていたところを、通りがかりの人に見られたらしい。檀家と呼ばれる人たちや、和尚が行きつけのスナックのママ、白い自転車に乗った交番勤務の制服の警官などがやってきた。
 恵美里は部屋にずっと隠れて姿を見せないようにしていた。和尚は一同を本堂に集めて、説明に追われていた。
 これ以上迷惑をかけるわけにはいかないとも思い、恵美里は隙を見はからってそっと寺を出た。

(続く)
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