閑話 ナ・バナの手記①

文字数 2,310文字

「では、また明日―とヴィレさんとおやすみなさいと別れたのは良いのですが……一寝入りする前に少し情報をまとめましょうかねー」
「微塵もまとまる気はしませんし、謎が謎を呼んでいる気しかしないのですが……」
「まあ、後ほど資料の一環として編纂することを考えれば、やるべきだとバナさんは思うのですよー。おいしそうなケーキ買って頂きましたし、少しは学者としてもお役に立たねば、ですね、うんうん」
「とりあえず、つらつらと箇条書きにして―と」

・魔香草が欲しい(切実)
・<エマの帽子>を<鏡の池>に持っていく
・ブラウニー探したい

・残りのケットシーさんを探す

・リビィさんを見つけて温泉開放したい

・石板の裏の謎を解く

・妖精郷を探索する

・ラクシアとの分離の謎を解明する

・アラマユ・ハメスガタラスについての詳細を知る

・帰還方法の確保

「ぱっと思い浮かんだのはこの辺りでしょうか」
「魔香草の確保……これは最優先事項ですね。今回ちょっと調子に乗って使い過ぎました……反省」
「マナマテリアルでアイテム生成が可能なのでしたっけ? 現在は共用とした形でアイテム共有しているので、ヴィレさんから使用許可を得て施療院の方で生成して頂きたいものです。今ある量で生成できると良いのですが……」
「あとついでに、施療院のペンネさんからもおつかい……依頼を請けることが可能と言う事が分かりましたね。それも一緒に記録しておきましょうか」

<施療院>

緑色の帽子に青い毛並みのケットシー、ペンネが管理担当者である。

回復アイテムの生成が可能であり、温泉施設がある。


<施療院 現在>

温泉施設の担当妖精リビィちゃんが所在不明中である。

マナマテリアルを媒介に、回復アイテムの生成が可能である。

一時封鎖の余波か、ペンネから依頼を請けることが可能である。

ペンネは薬草園とも縁深い……?

「一応、ヴィレさんに許可を得たら魔香草を生成してもらってー…ついでにリビィちゃん捜しの進捗を伺ってもよいかもしれませんねぇ。素直に、温泉が気になっています! と軽く言えば、ちょっとは教えて貰えるといいのですが……」

「んふふー、温泉楽しみですねぇ。……施療院に併設されているのであれば、きっと何かしらの効果が見込める、なーんてこともあるかもしれないのです。妖精郷特有の効果がある源泉であれば、調べてみたいですねぇ、んふふー」
「リビィさんの他にも、行方不明の妖精さんがいましたねぇ。ブラウニーもそうでしたし……ちょっと書き出してみましょうか」

〇→いない ●→いる


●<七色猫のおもてなし亭> グラタン

●<施療院>ペンネ

〇<   >ドリア

〇<   >パスタ

〇<   >ニョッキ

〇<転移の魔法陣>フィットチーネ

〇<妖精王の城>ラザニア


ブラウニーは<七色猫のおもてなし亭>に仕えている。

管理責任者はおそらくドリア。

2/10体


〇温泉の看板娘のリビィ

?帽子の持ち主エマ


アラマユ・ハメスガタラスの親友

■■■・■■・■■ー

「思ったよりもたくさんおりますね……。えぇと、順番に順番に」
「グラタンさんが居場所に心当たりがあると言っていたのは、ドリアさんとパスタさんニョッキさんでしたね。フィットチーネさんとラザニアさんの方が、妖精郷の謎を知るに詳しそうな担当管理人さんですが……まあ、今分からないものは仕方ないでしょう。ブラウニー探しも並行するのであれば、ドリアさんを探した方が良い気もしますが……ここのケットシーさん、妖精郷変貌後のことは知らないって返答がくる確率の方が、どうも高い気がしているのですよねぇ」
「エマさんについては……まあ、<鏡の池>に辿り着いたら考えましょう。優先順位は私の中でそこまで高くありませんし。うんうん」
「妖精郷の謎を解明するにあたって、一番有力そうなのはこちらなのですが……」

《表》

魔法文明語で

妖精の友、我が親友■■■・■■・■■ーに捧ぐ。せめて、妖精たちと共に眠れ ~アラマユ・ハメスガタラス~

と刻まれていた。

《裏》

図のような形で彫り込まれていた。

「妖精郷を造ったとされるアラマユ・ハメスガタラスには親友がいた? と言う事は当時のフェアリーテイマーはアラマユの他にもう一人いた? ソレが何故、名前を削られているのか。また、あえて裏に彫られているこの図形は何を意味するのか。妖精王の右手に剣、左手には杖。頭上には王冠を戴いていて、四方には各属性の鐘楼? 精霊? うーん、さっぱりです」
「手がかりらしきものを得るために、もう少し妖精郷探索を続けましょうかー…。帰還方法の確保、同時に色々と並行するには、まだまだ経験も力も足りないようですが……」
「あ、それとこれも書いておかなければですね」

ヴィレーム・ペサディリャ

蹴りでの攻撃を主にする前衛さん。

男性。人族の成人は迎えているように見える。

メインストリートより外れた場所の露天商で、そのままパーティ勧誘。

素行に問題はないように思える(むしろお人好し?)が人族への不信感あり。

お金(生活費)目当てと言ってはいるが、ガメツイわけではない。むしろ頓着なさそう。

……今のところ、ラクシアでの交友関係は不明。何かのコミュニティに所属している様子はない。

「私のテンションに流されてきただけの、粋がっているうっかり屋さんか。それともソレをブラフとして、本当の目的がある方なのか。実に興味深いですねぇ……んふふー」
「……まあ、この妖精郷の中で関りのある人物がいなければ、とりあえず未だ観察対象現状維持のままでよいでしょうかね。同じ轍を踏むわけにもいきませんし」
「……さて、魔力回復の為にもさすがに寝ましょうかねぇ」
「明日はどんな新しい発見に出会えるでしょうかー…むにゃむにゃ」
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登場人物紹介

ヴィレーム・ペサディリャ

種族:ナイトメア 技能:拳闘士2斥候1

人間生まれのナイトメアの青年。
穢れ持ちの為に、生みの両親にも奴隷のように扱われる日々を送っていた。

ある日、村にナイトメアが紛れ込んでいると噂になり、住処を焼かれ命を狙われることに。
そのどさくさで両親も焼死してしまう。
その後、何とか貨物船の中に潜り込み、長い船旅を経て逃げ延びることに成功。
命からがら逃げ延びた先で行き倒れていたところを、リルドラケンに保護される。

以上の経緯から、人族に対し強い不信感を抱いている。
誰に対しても距離を置き、心を開こうとしない。

ナ・バナ

種族:ハイマン 技能:操霊2野伏1学者1

本の虫と言われる幼少期を過ごし、世界にはたくさんの知らないことに満ちている! と知識欲を満たすことを目的に、15歳の成人で旅に出た。
魔法文明期の頃、仲の良かった友人に裏切られ、とある施設に売られる。
その後なんらかの実験(人をハイマンへと変貌させるもの)を行われた際に長い眠りについた。
そして、現在。長い年月を得て意識を取り戻して目覚めた彼女は、ハイマンと変貌していた。
施設には他にも数名同志たるハイマンもいたが、持ち前の好奇心と知識欲が抑えられず、彼女は旅に出る。
新たな知識と知らぬ世界を求めて。

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