文字数 701文字

「ねえねえ、おじいちゃん。それで、どうなったのー?」
「うむ。ほんの少しの差での、わしが勝ったんじゃよ」
「やったあ、おじいちゃんすごい!」
えんがわでひなたぼっこしながら、目に入れても痛くない孫に、昔話をしていたゆうとおじいさんは、その言葉を言い終えて、お茶をすすりました。
「おじいさん、お茶のおかわりはいかがですか」
話をしている最中、いつの間にか横におばあさんが寄りそい、話を聞いていたようです。
「そうだな、もらおうかの」
おじいさんは、おばあさんに茶わんをわたします。
「それと、続きはお話ししなくてもいいのですか」
「この先は、子供が聞きたい話でもないじゃろう。それに……」
おじいさんは、少し困った顔をします。
「あら、いいじゃないですか。ちゃんとお話してあげてくださいな」
「ききたいー。ききたいー」
おばあさんとまごに急かされて、おじいさんはますます困り顔です。
「うーん。しかたないのお」
おじいさんは、再び口を開きます。
「ぶじ、イス取りゲームに勝つことができたんで、ゆうとくんはりこちゃんと仲良くいっしょに遊びたいと伝えました」
「うん、それでー?」
「伝えたのですが、りこちゃんに断られてしまいました」
「えー! 振られちゃったの?」
「そう。振られてしまいました。でも、そんなゆうとくんに、優しく声をかけて、なぐさめてくれる女の子がいたのです」
「わー、良かったねー」
「ゆうとくんはその女の子と仲良くなりました、とさ」
「ねーねー。その女の子ってだれー?」
「ん、それはな……」

「はいはい。おかわり、いれてきましたよ」
お茶のおかわりを持ってきた、みなはおばあさんが、おじいさんのとなりに座ってお茶をわたしました。

(了)
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