おまけSS5

文字数 1,476文字

「私がお手本を見せる番です」
「そこに痺れる、憧れるー」
「ひかりちゃん、期待してるよー」
「うむ、任せた」
「ここアキバ絶対領域の売りは、私たち猫がメイドをしているということです」
「でも、そこには問題が一つあると思うんです」
「問題とは?」
「私たち、なかなかどうして人間っぽ過ぎる、と思ったことはありませんか?」
「いやいやー、私たち、どっから、どうみても猫じゃん」
「そうですかね?」
「いや、そうか?」
「だってー、耳生えてるじゃん」
「いやいや、そこワンポイントだし。その姿で街中歩いてたら100パー人間だと思われるぞ」
「でも、私、猫っぽいって、よく言われるよー」
「確かに、はにはフレンズ系だが、人間を前提とした発言だからな、それ」
「やはり、皆さんの意見をお聞きする限り、人間っぽい、あるいは、猫の部分はワンポイントに過ぎないということだとおもいます」
「まあ、その通りだな」
「そこで、今回の私のアイディアは、猫っぽさをもっと強めていこうということに力点を置きました」
「いいね」
「そうだね。わたしのアイディアも、そういうことが言いたかったのかもだね」
「結果的には、そうとも言えなくもないが、ひかりの発言に乗っかってることを隠せてねぇぞ。というか、ひかりの話を聞こうぜ」
「もちろん、人間の姿でいることは、重要なことです。なぜなら、人間の姿をしていなければ、私たちは人間と会話することができないからです」
「その通りだ」
「そこで、こんな物を用意しました」
 
 
「ひかりちゃんの趣味が出ちゃったよー」
「趣味とは聞き捨てなりませんね。お店のことを考えて出したアイディアですよ?」
(ゆぅゆ、あとは任せた)
「いやいや、こんなのつけて、ご主人様の前にでられるわけないじゃん」
「そうですか? かなり猫っぽいと思いますけどね」
「ひかりちゃんが前のご主人様とどんなプレイをしてたか分からないけど、こんなのありえないよー」
「ぷ、ぷれい……とは失礼な! 猫が首輪をつけて何が悪いというのです?!」
「でも、それをつけるのは人間姿の私たちなわけでしょう?」
「当然です」
「ダメだよ。そんなの無理に決まってるじゃん」
「るうちゃん、良かったら紅茶飲まない? お店の新メニューにって考えたんだ」
「はい、いただきます。新メニューですか?」
「良ければ、無理、の内容とちゃんと説明して頂けませんか?」
「私はホールスタッフだから、こっちのアイディアをと思ってね」
「なるほど」
「これで『ご主人さまぁ』とか言ったら……違う意味に聞こえちゃうじゃん」
「これはね。ジャンナッツの新しいやつで、うちのにゃんこたちにも、ブリーダーにも評判がいいんだ」
「ジャンナッツ。わたしも好きです」
「違う意味の内容を詳しく」
「ジャンナッツを知ってるとは、さすがだね。私はジャンナッツにこだわっていてね」
「そうなんですか?」
「そんなの説明できないよー。もう、ひかりちゃんの鈍ちん!」
「ある言葉を私のモットーにしているからなんだよ」
「それは、どんな言葉なんですか? 興味があります」
「だ、誰が鈍ちんですか!」
「あなたがその猫を選んだのではなく、猫があなたを選んだのです」
「し、知ってます! あなたがその猫を飼っているのではなく、猫がいつもあなたの傍にいようとするのです、と続くんですよね?」
「素敵な言葉だね」
「って、わたしたちのことを無視しないで下さい!」
「そうだ、そうだ」
じゃら!
 
!(あかん……これ、アウトの奴と違うか?)
「確かに、猫っぽいかも……」
(これはナシでしたね……)
「お持ち帰り、しますかにゃん♪」
「アウトぉぉ!」
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

猫島五郎

16歳。高校生。

猫井つぐみ

16歳。高校生。五郎の幼馴染

猫林るう

18歳。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色