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文字数 598文字

店に入るなり、僕は圧倒された。
白を基調とした店内は、僕には眩しくて、勇んで入った僕の足を怯ませた。
そんな僕の心に、更に追い打ちをかけるように、店内のあちこちにメイド服を着た女性が出迎えてくれた。
「五郎ちゃん、しっかり」
僕の背中をつぐみが支えるようにして、押し返す。
「あ、ああ」
正直、つぐみが一緒に居てくれて、助かった。
こんなに綺麗なお姉さん方の居る店に、僕一人では心細過ぎて、五分といられなかっただろう。
「お帰りなさいませ、旦那様、お嬢様。二名様でお越しですか?」
「旦那さま? って、僕のこと?」
たぶん、そうよ
「はい、二名です」
「二名様ご入域です、おかえりにゃさいませー!」
「「「「おかえりにゃさいませー!」」」」
店内に黄色い声が飛び交う。
その様子に僕はただただ圧倒された。
「ほら、店員さんが案内してくれてるわよ」
 「ああ……って、つぐみ、なんで耳生やしてるんだよ?」
「し、仕方がないでしょう……このお店ではこれが標準装備なのよ。たぶん
「うーん、それにしても、似合わんな」
「う、うるさいわね……。そういう五郎ちゃんは、結構似合ってるんじゃないの?」
にやにやと笑みを浮かべるつぐみに、僕はまさかと思い、頭に手をやった。
そこには存在しないはずの物体がついていた。
つぐみの頭についているのと同じ、猫耳カチューシャだ。
「いつの間に!」
「初めてですかって聞かれて、そうって答えたら、付けてくれたのよ」
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登場人物紹介

猫島五郎

16歳。高校生。

猫井つぐみ

16歳。高校生。五郎の幼馴染

猫林るう

18歳。

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