Hold It

文字数 530文字

だめりゃの。このお店もポーション1本3,000G。そんなお金ないの。
リンゴ1個が1Gだから、リンゴが沢山買えるの。
魔王城から離れれば、ポーションの値段は安くなる。


でも戻るのに時間がかかるのが難点ね。

1本500Gでなきゃ話にならない。


チルチル、転移コマンドを実行するから早くこっち来い

駄目なの…。したいの…。
何だかわからないが、早く済ませろ

おしっこしたいの…。


ポーションをいっぱい飲んできたから、おしっこしたいのー。

機械であるブラックボックスにはわからなくとも、人間が見れば一目瞭然である。


彼女、ポポ族のチルチルは耐え難き尿意に耐えているのだ。

じんじん、むずむず、ぱんぱんなのー

賢明な読者は不思議に思うだろう。


「なぜ高級品であるポーションを、尿意をもよおすほど飲むことができたのか?」



実はチルチルが飲んだのは、濃度0.3%の粗悪なポーション。


破格的に安いが、回復のためにはガブガブ飲まなければならないため人間は飲まない。


否、飲めない。体の容量が耐えられず吐く。


カブ飲みで体を壊しては本末転倒なのだ。


だが、チルチルはポポ族!


無能で非力な民族だが、飲んで食べてはお手の物。


回復手段を持ち、元気一杯のチルチルは、戦闘では"壁"と"雑用"を果たすのだ。

ふしゅー ふしゅー
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登場人物紹介

@ポポ族のチルチル

ポポ族とは魔王に定められた特区でのみ生活が認められている家畜である。


家畜村は楽園。チルチルも、もぐもぐゴロゴロするだけのポポ族だった。


うっかり特区から出てしまったチルチルは、外の世界でリンゴの美味しさを知る。本当の楽園はココにあった。


リンゴ、それは知恵の実。禁断の果実。


チルチルの頭は良くならなかったが、恥じらいの感情は芽生えた。


今日も、大好きな皆のために頑張るの。

@ごくごく普通の青年

ひょんなことからチルチルを助け、機械魔法非生命体と魔王討伐を目指すことになった青年。


当たれば必ず男性の心を折るエクスカリ棒の使い手だ。

@魔王

世界の回復手段を独占している。

人間をボコり、ポーションを法外な値段で売りつけるビジネスを行っている。


ポポ族と因縁があるようだが、真相はわからない。

@ホワイトボックス

失われし機械魔法により作られた非生命体。女性の人格を持つ。

生殖機能を持ち合わせていないが、穴はある。

@ブラックボックス

失われし機械魔法により作られた非生命体。男性の人格を持つ。

繁殖機能は持ち合わせていないが、こちらも穴はある。

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