第5話

文字数 1,835文字

コミュニティー・ツヴァイ



vs賞金首 グレゴリー興



「・・・さて、コミュニティー・ツヴァイに来たはいいが、どうやって盗賊団に不自然なく入れるか。」



そのときシドは何かを発見した。



「ん?あれは・・・。」



遠目ではあるが、路地裏の向こう側に必死に逃げ回っている人物がいた。



「逃げているやつは知らないが、追っているのはたしか小物の賞金首のアルフォートだな。」

二人の追いかけっこは徐々に逃げている人物がじわりじわりと差を詰められて捕まりそうだった。



「逃げているやつは太っているのにうまく道角を利用している。」



「この街に詳しそうだな。とりあえず助けてみるか。」




ドン!




シドは愛用のスナイパーライフルに麻酔弾をセットして賞金金の安い小悪党を麻酔で無効化する。



賞金首を捕縛するために路地裏に到着すると、逃げていた人物がシドに近づいてきた。

「はぁはぁ。あー!助かったよ。ひいひい、ぜいぜい。あと少しではぁ、追いつかれて金を奪われるとこだったよ。」



「お前はこの街に住んでいるのか?」



「ん?そうだよ。僕の名前はイリーガル。この街で50年間ずっとちょっとした商売をしているんだ。」



「俺は賞金稼ぎのシドだ。俺は街、コミュニティー・ツヴァイの情報がほしいんだ。イリーガルのある商売とは?」



「っおお。おお〜。賞金稼ぎのシドって本物?いやさっきの狙撃の腕をみれば一目瞭然か。」



「さっきの狙撃?」



「狭い路地裏で追いかけ回しているこいつをスナイプの一発で無力化したその手腕は素人目から見てもすごい!僕はこの街で贋作を作って商売しているんだ。」



「そうだ!助けた礼として贋作がほしい。」



「?。なんでだい?」



「このコミュニティー・ツヴァイを牛耳っている賞金首のグレゴリーを捕獲しに来たのさ。」



「本当に!?僕もグレゴリー興の相手にはひどく品物を安く買い叩かれて、困っていたんだ!そうとなれば僕の店に案内するよ。」




迷路のような路地裏のうんと奥に煤けた看板で、ロックベル・スチュアートと書かれた店があった。

「どうぞ。ここが僕の贋作屋、ロックベル・スチュアートだよ。友情価格でどれでも1ベルで売るよ〜。」



「そうだな。グレゴリーが好きそうな宝石はないか?奴が統括している強盗団に潜入する予定なんだ。」



「そっか。うーん。あ!アレキサンドライトの指輪はどう?昼と夜とで色が変わる宝石で本物は数億ベルにもなる。僕の自信作の一つさ。」



「!。いいのか?俺から見ても本物のようだ。」



「大丈夫。グレゴリーがいなくなれば、商売も上々になるからね。ギブアンドテイクだよ。好きでしょこういう契約。」



「ふっ。たしかにな。では、このアレキサンドライトの指輪を1ベルで買い取らせてもらう。」

「購入ありがとうございました!じゃあ、頑張ってグレゴリーを捕まえてね。それじゃあね。」



「ああ。助かった。それじゃあな。」



シドは贋作屋で本物は数億ベルの偽物の宝石が埋め込まれた指輪を購入した。




強盗団のアジトに到着したシド。

警戒されないように名前をシドからジャックと盗賊団には名乗ることにする。



「おう。俺はジャック。グレゴリー様はいるか?この強盗団にぜひ入りたい。」



グレゴリー強盗団の見張りに話しかけると、嫌な顔をされる。



「んー。うちでは戦力外はお断りだぜ。冷やかしなら帰りな。」



「手土産を持ってきたんだ。ちょっと見てほしい。」



「!。こりりゃボスが気に入っているアレクサンドラじゃねーか!?ちょっと待ってろ。」



見張りはそう言うと、アジトの奥に引っ込んでいったと思ったら、グレゴリーを連れてきた。



「おうおう。このグレゴリー様に貢物を持ってきた入団希望者はお前か?」



「ああ。俺はジャック。希少な宝石のアレキサンドライトを見てくれ。」



「おお!こりゃいい。よし!お前の入団を許可しよう。今夜は宴だ!おい、酒をもってこい!」



盗賊団に入団をする取引として贋作の品を贈呈するシド。
「あっはっはっは。酒だ!酒だ!今夜は盛大に飲み会だ!おい!新人。ジャックとか言ったか>お前も酒を飲むといい!」



「ありがたい。だが、あいにく下戸なんで代わりにこのごちそうをいただくぜ。」



「そうかそうか。好きなだけ食べるといい!あっはっはっは。」



そうして



盗賊団が酔いつぶれて眠ったあとで慎重にグレゴリーを拘束をするシドであった。



「よし。あとはギルドまで運ぶだけか。今回の仕事はイリーガルに出会えて幸運だったな。また何か困りごとがあるときはロックベル・スチュアートに向かうか・・・。」



そうつぶやくシドであった。


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