第5話

文字数 271文字

帰りのバスの中は沈黙が続いた。
先程まであんなに晴れ渡っていた空も、どんよりと黒い雲に覆われて、今にも雨が降り出しそうだ。
「哲也、外を見てみて」
「え、」
「急に暗くなって来たね。」
「本当だ、夕立でも来るのかな?」
・・・・・・
「僕ら、何にも知らなかったんだなぁ!」
「なぜ、父ちゃん達は教えてくれなかったんだろう・・・」

「あの場所から。今の家に引越すまでには色々な事があったんだろうな。
あ、雨が降って来た。」
「あの町は、また水底に消えて行くんだろうか。」
「多分、そうだね。」
雨足はみるみる早くなりバスの視界を塞いでいった。
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