4 花火の特等席には

文字数 470文字

そこは花火を見る特等席だった
土産物屋をやっている友だちの
二階は打ち上げ場所の真正面
上空までくっきり見える余裕の空

僕らは夏祭りの日になると
そこに集まって夜まで遊ぶ
明るい昼間はゲームや漫画
時々飽きて おやつやジュース

時間は幾らでもあるような
そんな気がしてダラダラして
いつの間にやら日は暮れていく
さあ 舞台の準備は整った

窓から顔を出す必要もない
ゆったりソファーなんかに
横並びで座って王様気分だ
男だけだが その方が気楽

さあ 一発目が上がったぞ
続けてスターマインが連発
昔はお金もあったのだろう
殆ど間を空けずに花は開く

一時間半くらいもあったかな
伝え聞くと今は四十分くらいとか
田舎は伝統行事も人不足だそう
花火も費用高騰 規模縮小らしい

都会にいる今 子どもじゃなく
自分の手元にこそお金はあれど
昔懐かしむ あの二階席の花火は
お金以上の楽しさがあったと思う

少年時代は遠くなり
思い出は写真のように
切り取られた形でしか
心には残っていないけど

ただ単純に騒いでいた
あの頃があるからこそ
今を頑張れるんだろう

今の子たちはみんな
そんな 無意味無駄な
時間を過ごせているだろうか
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