2 それは川原の出来事でした

文字数 431文字

川原の土手って気持ちいい
寝転がってウトウトするの
いつまでだっていられそう
いい夢が見られそうだよね

そのとき 頭の上で音がした
錆びたようなブレーキの音
顔を向けると 君がいたんだ
自転車を降りて こっち見て
少年野球の帰りだったみたい

陽が沈みかけるまでずっと
私と君は並んで空を見ていた
時々 しょうもないこと言って
意味も無く笑い声上げたりして

ずっといてもいいな なんて
そんなことを思ったりしたら
頭上から声を掛けられた
彼のお母さんだった

「もうすぐ夕飯だよ」
それは帰れという意味だ
彼は素直に立ち上がって
土手を上がっていこうとした

でも 草に滑ったのか
バランス崩して転びかけた
とっさに私の手が伸びて
彼の腕をぎゅっと握って

二人とも転ばずに済んだけど
彼はパッと腕を振り払うと
土手の上へ お母さんへと走った
ちょっと寂しかったかな 私は

「女の子の手ってあったかいんだな」
そんなこと言っているのが聞こえた
バカか 何を親に言っているんだ

だけど
正直に告白します

そのとき
私 心でガッツポーズしてたよ
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