第3話
文字数 548文字
その夜、私は姉と一緒にドラマを見ていた。
「お姉ちゃん。麦茶飲まない?」
「そうね、じゃあお願い」
私は台所の隅でガラス瓶を開けた。スポイトで麦茶のグラスにデランフロアブルを2滴入れ、攪拌した。お腹の子供だけを殺す適量はいかほどか、散々考えた末の2滴だった。グラスを姉の前に、置いた。
「ああ、夜になっても、ほんとに暑いわねえ」
姉が麦茶を、飲んだ。私は姉が麦茶を飲むさまを息を詰めて見ていた。心臓が早鐘を打った。いまにも破裂しそうだった。飲み干すと、姉は再びテレビ画面に目をやった。
ほどなく私は会社の近くで一人暮らしを始めた。仕事が忙しいと言い訳し、正月にも実家に帰らなかった。
姉の子供は2月10日の未明に産まれた。
健康な女の子だった。
母から連絡を受け、私は泣いて神に感謝した。
娘は麻美 と名付けられた。
一人っ子のせいか、多少我儘なところはあったが、麻美は素直な娘へと成長した。また麻美は風変わりな子で、物心ついた頃から、ベランダに妖精がいるなどと言って大人を驚かせた。
麻美はなぜか私に懐き、たまに実家に帰ると、お姉ちゃん遊んでと言ってせがんだ。私も麻美が可愛くて、彼女が中学生になると都内の美味しい店に連れて、家や学校の愚痴を聞いてあげるようになった。
「お姉ちゃん。麦茶飲まない?」
「そうね、じゃあお願い」
私は台所の隅でガラス瓶を開けた。スポイトで麦茶のグラスにデランフロアブルを2滴入れ、攪拌した。お腹の子供だけを殺す適量はいかほどか、散々考えた末の2滴だった。グラスを姉の前に、置いた。
「ああ、夜になっても、ほんとに暑いわねえ」
姉が麦茶を、飲んだ。私は姉が麦茶を飲むさまを息を詰めて見ていた。心臓が早鐘を打った。いまにも破裂しそうだった。飲み干すと、姉は再びテレビ画面に目をやった。
ほどなく私は会社の近くで一人暮らしを始めた。仕事が忙しいと言い訳し、正月にも実家に帰らなかった。
姉の子供は2月10日の未明に産まれた。
健康な女の子だった。
母から連絡を受け、私は泣いて神に感謝した。
娘は
一人っ子のせいか、多少我儘なところはあったが、麻美は素直な娘へと成長した。また麻美は風変わりな子で、物心ついた頃から、ベランダに妖精がいるなどと言って大人を驚かせた。
麻美はなぜか私に懐き、たまに実家に帰ると、お姉ちゃん遊んでと言ってせがんだ。私も麻美が可愛くて、彼女が中学生になると都内の美味しい店に連れて、家や学校の愚痴を聞いてあげるようになった。
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