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文字数 1,476文字

 何とか、昼頃までには、爆弾と……そして、使いものにならない牛や馬を何匹か入手する事が出来た。
 入手した牛や馬が「使いものにならない」理由は、いわゆる暴れ馬・暴れ牛だったからだ。
 もちろん、前の持ち主から買う時に、相手には記憶操作を施している。
 爆弾は、こんな時の為に冒険者ギルドが秘かに購入していた他の都市(まち)の錬金術師が作ったものを複数種類。成分や不純物、火薬にかけられた「魔力」のパターンなどから、この都市(まち)の司法当局からすれば「誰が作って、どこから入手したか?」が判りにくい……筈……らしい。
 費用は、全部、僕たちへの報酬から天引きだ。
 とは言え、大丈夫だ。
 何故か、かなり値引きされてるんで、まだ、黒字だ。
 僕とシャロルは、いつも着てる鎧じゃなくて(シャロルのビキニ・アーマーが鎧と呼べればだけど)、黒装束に覆面で、暴れ馬に乗り……。
 前方には、シャロルのパーティーの魔法使いであるジュリアが使っている鸚鵡ぐらいの大きさの小型ドラゴン型の使い魔が宙を舞っている。
「行きますよ……」
 ジュリアが、そう言うと……暴れ馬と暴れ牛の一団は、疾走を始めた。
 都市(まち)を囲う城壁の外にある、この都市(まち)の名士の1人の別荘。そこが結婚式場だ。
 って……。
「うわあああ……」
 やっぱり、魔法で操ってるとは言え、暴れ馬は暴れ馬だ。
 普通の馬より振動がハンパない。
 まだ、目的地まで四分の一か三分の一なのに……。
 吐きそう、舌噛みそう、吐きそう、舌噛みそう、吐きそう、舌噛みそう、うがががが……。
「えっ?」
 ちょっと待って、何で?
 僕たちの後を追ってくる人達が……あ……冒険者ギルドのランキング2位から8位までのパーティーが集団になって、何故か、僕たちを……。
 え……えっと……何か、僕たちが聞いてない事が有るの?
 とりあえず、目的地への道程の約8割まで来た辺りで、完全に意識は朦朧。
 いつの間にか……僕たちを追って来ていたランキング上位パーティーの姿は消え……。
「な……なんだ、あれはッ?」
 別荘の門番が絶叫。
 暴れ馬と暴れ牛の一団は、門番達を蹴り殺し踏み潰し、別荘内に突入。
 結婚式場になっている別荘の庭に集っている町の名士達も次々と……。
「私に任せて下さい」
 どうやら……この別荘の主か、参列者の1人が、用心棒として雇っている魔法使いらしい。
 一瞬で、暴れ馬・暴れ牛達が魔法で操られている事を見抜き……解呪。
 あははは……馬鹿がッ‼
 暴れ馬・暴れ牛にかけられている魔法を下手に解呪したら……当然、もっと暴れ出す。
 ほとんど、復讐代行ギルドとか魔法使い系ヤクザの嫌がらせの手口だ……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんて……。
 助かった……胴火の中の火縄は……まだ火が付いたまま……。
 馬から落ちる寸前に、何とか導火線に着火。
 って……格好良かったのは、そこまでだ。
 いたたたた……。
 馬から落ちて地面に激突した瞬間、頭が真っ白。
 全身が悲鳴を上げ……。
 骨折れてたりしないよな?
 あああああ……。
 この大混乱に紛れて、殺害対象(ターゲット)を暗殺しないといけないのに……。
 痛みで体が……動か……。
 そして……1つの爆発が、別の爆弾に引火して……爆発、爆発、爆発、爆発、大爆発、大大大大大爆発。
 あははは……これが冒険者ギルド提供のお祝いの花火……。
 ん?
 何故か、冒険者ギルドのランキング上位パーティーが、この別荘内に突入。
 ランキング2位のパーティーのリーダーが何かを叫んでるけど……爆音と参列者の悲鳴で……聞き取れない。
 痛い。
 痛い。
 痛い。
 ともかく、体が動か……。
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