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文字数 582文字
急にきらきらとした虹色の光を四方に放ち、妙な電子音が鳴ったかと思うと、彼は目がくぼんで表情のない人の仮面をつけて立っていた。
正義を振りかざす理想家らしからぬ風貌の面である。
なぜそれをチョイスしたのだろうか。
彼は、私の強い視線とその考えに気づいたにちがいない。呻きながら不機嫌そうに手足を大げさに振り回す。
暴力で私の主張を封じようとしているのだろうか。そんなのが正義を名乗るとは実におこがましい。
「天空キーーック!」
両足を投げ出すようにキックを繰り出してきたが、要はプロレスでいうドロップキックである。
私がさっと身を引くと、天空というのは名ばかりで飛行距離はほとんどなく、彼は地べたに落下し、無言で悶えていた。
変身したらパワーアップするのかと身構えていたが、誤差の範囲のようだ。
骨でも折ったのだろうか。あるいは頭を強打したのだろうか。
彼が、いつまでもうずくまっているので、私は救急車でも呼ぼうか迷いながらその顔をそっと覗き込んだ。
すると、彼の突然繰り出してきたストレートパンチが私の顎を撃ち抜いた。
心配して損した。なんて卑怯な男だろう。
ひどいめまいに見舞われ、身体の力も入らなくなり、私はよろめきながら尻尾を引きずりつつ後退した。
「お前、なんてことを……それでも正義の味方か?」
彼は、そんな私の恨み節を笑った。
「へっへっへ、勝てば官軍よ」
正義を振りかざす理想家らしからぬ風貌の面である。
なぜそれをチョイスしたのだろうか。
彼は、私の強い視線とその考えに気づいたにちがいない。呻きながら不機嫌そうに手足を大げさに振り回す。
暴力で私の主張を封じようとしているのだろうか。そんなのが正義を名乗るとは実におこがましい。
「天空キーーック!」
両足を投げ出すようにキックを繰り出してきたが、要はプロレスでいうドロップキックである。
私がさっと身を引くと、天空というのは名ばかりで飛行距離はほとんどなく、彼は地べたに落下し、無言で悶えていた。
変身したらパワーアップするのかと身構えていたが、誤差の範囲のようだ。
骨でも折ったのだろうか。あるいは頭を強打したのだろうか。
彼が、いつまでもうずくまっているので、私は救急車でも呼ぼうか迷いながらその顔をそっと覗き込んだ。
すると、彼の突然繰り出してきたストレートパンチが私の顎を撃ち抜いた。
心配して損した。なんて卑怯な男だろう。
ひどいめまいに見舞われ、身体の力も入らなくなり、私はよろめきながら尻尾を引きずりつつ後退した。
「お前、なんてことを……それでも正義の味方か?」
彼は、そんな私の恨み節を笑った。
「へっへっへ、勝てば官軍よ」