一章 歓迎会

文字数 7,340文字

今日も雑音が煩い。


(新生活、ドキドキするなあ・・・)

(自然に、自然にしなくちゃ・・・)

(今日から大学生だ。頑張るぞ・・・)


スライド式のドアが開くと、視線が集まる。噂の彼だ。高い背に均整の取れた身体。肌理の細かい白い肌。ビスクドールのような、どこか儚さを感じさせる美しい顔。彼の名前は原田優。年齢は確か、四十代手前。ベストセラー作家が何故医学部に入学したのか。何故田舎町の大学を選んだのかはわからないが、原田のことはあっという間に噂になった。既に化粧品臭い女達が原田の周りで群れを作っている。聞こえてくるのは、下品で下劣なこころの声。


(やっばーい! 絶対彼氏にしたい! いや絶対彼氏にする!)

(超格好良いー! ワンナイトでいいから、付き合いたーい!)

(めっちゃ良い匂いするぅー! 運命だよぉ! 結婚したい!)

(ど、どうしよう、僕、恋人が居るし女性が苦手なのに・・・)


「はあ・・・」


私は小さく溜息を吐くと、


「優くーん! 久しぶりー!」


と大きな声を出し、彼に向かって手を振った。彼も、周りの女達も、好奇の視線を送っていた他の生徒も吃驚している。私は続けた。


「どこ座るか迷ってるん? こっちおいでや」


彼は迷いながらも私の隣に座る。女達に睨まれ、嫌な声も聞こえたが、私の笑顔の仮面が崩れることはない。


「あ、あの、」

「あんた女苦手なんやろ」

「えっ・・・。あの、」

「顔見てたらわかるで、原田、いや、左白憂センセ。みーんなあんたとお近付きになろうと男女関係なくだらしない顔しとるわ。まあそういう私もファンの一人なんやけど。せやから助けたんや。私、目立つやろ。困ったら私のせいにしてええで。勉強と執筆活動頑張ってな」


私はそれだけ言うと、読んでいた本に目を戻した。


「・・・あの」

「なんや」


人と話すときは目を見ること。そう教えられて育ったので読書を中断し、原田を見る。


「ありがとうございます」

「かまへんよ」

「お名前を」

「水無瀬文香」

「文香さん」


敬称を付けているとはいえいきなり名前で呼ぶとは。まあ私も『優君』と呼んだので『文香さん』と呼んだ方が自然か。


「なんや」

「出身は関西ですか?」

「せやで」

「僕の恋人も関西出身なんです」

「そう」

「はい。話していて、落ち着きますね」


原田がにこりと笑う。本心だろうか。

私は『ダイヴ』を始めた。

デメリットは三つ。

一つ。『ダイヴ中』は外部の刺激に反応できなくなること。周囲の人間には急に黙り込んで睨み付けているように見えるらしい。

二つ。『ダイヴ中』は無防備になること。

三つ。『ダイヴ』する深度や時間も関係するが、酷い吐き気や強い頭痛がすること。


(凄く良い人だな。帰ったら透さんに話をしなくちゃ)


僅かな吐き気を紛らわすため、私は深く息を吸い、吐いた。


「僕の本、読んでくれたんですか?」

「処女作の『母性』、続編の『哀歌』と『海星』やっけ。あと『リタ』ってオカルト雑誌に投稿してるホラー小説も読んだよ」

「わ! 嬉しいです!」

「作風の幅が広いんやね。別の人格が書いとるのかと思ったで」

「あは、まあ、色々ありまして」

「ほお」

「文香さんは読書が好きなんですか?」

「呼吸と同じやね。あ、せや、優君。あそこに座ってる女グループの真ん中の金髪には気ぃ付けや。私、あいつと中学一緒やってんけど、『読書は高尚な趣味』とか言うんやわ。『読書は賢い金持ちにだけ許された趣味』やて。まあ優君もそういう考えなら仲良うしたらええけどな」

「ど、読書が高尚な趣味・・・」

「名前は久遠寺椿。ま、実家は金持ちやから、仲良うするんならええことあるんちゃう? 忠告も取り持ちもしたからあとは知らんで」

「・・・フフッ、文香さん、優しいんですね」

「中途半端に優しくするのはいかんからな。一回手ぇ出したら最後まで面倒見るねん。まあ、ファンとしての下心もあるけどな。金持ちの伝手作るもよし、勉学に集中するもよし、や」

「彼女なんかより貴方に興味がわきました」

「勘弁してくれ。別におもろいことないで」

「ありますよ。貴方のクレバーなところも、格好良い見た目も。もっと知りたい」

「あんた女は苦手とちゃうの」

「それは恋愛対象として見られている時ですよ。貴方はそうじゃない。でしょう?」

「は、まあええけど。優君、学食も一緒に食べるか?」

「いいんですか?」

「ええよ。私、先輩に呼ばれて何度か遊びに来たことがあるから、使い方もわかる。任しとき」

「では、そうします」


原田はにっこりと笑った。

私は生き物のこころの声を聞くことができる。人間以外の動植物の声すらも。といっても、人間以外のこころの声を正確に読み解くのは難解だ。理由は人語ではないから。人間のこころの声は厄介だ。濁流のようにめまぐるしく変化し、言葉が浮かんでは沈んでいく。

『ダイヴ』していなくても、私が聞きたくないと思っていても、こころの声は勝手に聞こえてしまう。特定の物事に対して強く感情を働かせている時ほど、ハッキリとした言葉で読み取ることができる。原田に下心を寄せている女達の声はハッキリと聞き取れたが、好奇の視線を寄せているだけの者達の声は曖昧にしかわからなかった。ある意味有難いことだ。常に言葉を脳みそに叩き付けられるよりはいい。

強い感情だらけのところに行くと勝手に『ダイヴ』しているような状態になり、抗えない吐き気と頭痛を引き起こす。酷いと失神してしまうこともある。

対処法は二つ。

一つは睡眠薬を服用すること。私自身の意識を曖昧にすることで、感情を読み取る思考する力を下げる。デメリットは眠気に抗えず眠ってしまうことだ。夜はふとした瞬間に捕食される小動物や虫のこころの声が聞こえて眠れなくなることがあるので、毎夜服用している。

一つは私が混乱すること。恐怖や痛み、怒りや悲しみに支配されることで思考する力を下げる。デメリットは言うまでもない。

講義を終えると、食堂に行く。学食のシステムを説明して、原田と向かい合い、テーブルを囲む。原田は吃驚するくらい礼儀作法ができた人間だ。私は気を付けているとはいえ自信が無いので少し恥ずかしい。


「文香さんのファッション、『ゴスパンク』ってヤツですか?」

「うーん、参考にはしとるけど、威嚇やこれは」

「威嚇、ですか?」

「そう。身長184cmもあんのに厚底ブーツ履いてんのも、黒、白、赤でまとめてんのも、威嚇。男はまず寄ってこん。なんでか女は寄ってきてまうけどな」

「もしかして、文香さんも男性が?」

「『死ぬほど嫌い』って表現、なんでこっちが死ななあかんのかわからんから嫌いやけどな、それくらい嫌いなんや、男のことが。だから『殺したいほど嫌い』になるね。この話はもうええやろ。それより優君、文芸サークルに興味ない?」

「サークルですか! どこかに入りたいと思っていたんです。でも、出だしで躓いちゃったからどうしようかと思っていました」

「私の先輩が部長やってるサークルな、部員が三人しかおらんねん。大学に正式なサークルとして認められるには部員が五人必要なんや。私、誰か一人勧誘してくれって言われとってな。優君、どう?」

「是非!」

「おー、よかった」

「ねえねえー、なんのお話してるんですかー?」


嫌な声がした。久遠寺だ。


「サークルに入るかどうかって話や」

「は? あんたに聞いてないんだけど、ナナフシ女」


私の言葉に久遠寺が即座に噛み付き返す。こいつアホだろ。可愛い子ぶりたい男の前でだけ可愛い子ぶっても意味がないのに。


「文香さんと一緒に文芸サークルに入ろうって話をしていたところです」

「えーっ? 文芸サークルぅ? 原田さん、私と一緒にテニスサークルに入りましょうよ!」

「どうして僕の名前を知ってるんですか?」

「えーっ! だって有名人ですよ! ベストセラー作家だって! 趣味も仕事も執筆なんてつまらないでしょ? 趣味は身体を動かしましょう! 私とテニス、どうですか?」

「いえ、僕は文香さんと文芸サークルに入ります」

「・・・えーっ? じゃあ、私も文芸サークルに入ろうかな? いいですよね? 水無瀬さん?」

「好きにしたらええんちゃう」

「あっそ。じゃあ原田さん! いえ、優さん! 私も文芸サークルに入りますねっ! よろしくお願いしまーす! では、また!」


久遠寺は遠くに居た友人に呼ばれて、私達から離れていった。『お近付きになれた』ときゃあきゃあはしゃいでいるのが聞こえる。


「す、すみません、文香さん。僕がもっとハッキリ断っていれば・・・」

「謝らんでええよ」

「優しいんですね、本当に・・・」

「ファンとして下心があるだけや」

「フフッ、そういうことにしておきます」


こいつ、危ないな。流し目だけで男女関係なく虜にする魔力がある。美醜は人の主観に寄るが、原田を『醜い』と断言できる者はそう居ないだろう。

その後、再び原田と待ち合わせをし、文芸サークルの部室のドアをノックする。こんこんこん、三回。すぐにドアが開いた。


「おおっ!! 文香君!! 新入部員は連れてきてくれたのかい!?」

「優君が入るて言うてくれたわ」

「ど、どうも・・・」

「んっ!? あれっ!? 貴方はまさか・・・!?」


私は先輩を部室に押し込んだ。


「デカい声出さんといてくれますか竹内先輩。優君は真面目に勉強しに来とるんですわ。サークルかて社会勉強の一環や。そうでしょ優君」

「はい。えっと、竹内さん、よろしくお願いします」

「そうかあ!! よくやったぞ文香君!! これで廃部は免れるぅ!!」

「自己紹介してください、竹内先輩」

「僕は竹内!! 竹内秀一です!! 四年浪人して一回留年したんで皆に『先輩』って呼ばれてます!! 二十五歳です!! 好きな作家は夢枕獏!! よろしくお願いします!!」

「原田優です。好きな作家は横溝正史先生です。よろしくお願いします」

「これ文香君もぼーっとしてないで自己紹介したまえ!!」

「あー、水無瀬文香。好きな作家は京極夏彦。よろしくお願いします。先輩、泉さんと九条さんは?」

「買い出しだよぉん!! 文香君が新入部員を連れてきてくれるって連絡してくれたから、歓迎会を開こうと思ってね!!」

「さいですか」


ノックも無しにいきなりドアが開いた。久遠寺だ。何故か取り巻きは居ない。


「あのー、入部したいんですけど?」

「おおっ!! おおっ!! いいねいいね!! 僕は部長の竹内秀一だよ!! 君も自己紹介したまえ!!」

「竹内先輩、泉さんと九条さんが帰ってきてからにしませんか? 二度手間になりますよ」

「さッすが文香君!! ささ、皆、こっちに座って!! 座る場所なきゃ作ってくれていいから!!」


そう言って竹内は散らかっている原稿用紙を蹴飛ばした。久遠寺の頬は引き攣っていた。暫く待っていると、小さく可愛らしい見た目に反して気が強い泉さんと、久遠寺の何倍も金持ちなのにまったくひけらかさない九条さんが帰ってきた。


「わっ! 竹内先輩、新入部員って左白憂先生じゃありませんか!」

「そうなんだよ!! 文香君が連れてきてくれたんだ!!」

「おー、文ちゃん、やるねえ」

「どうも。それより自己紹介してさっさと歓迎会しませんか?」


さっきから久遠寺のこころの声が煩い。


「では!! 僕は部長の竹内!! 竹内秀一!! 浪人しまくりで留年もしてしまったせいで無駄に年だけ重ねているので皆が愛称と蔑称を兼ねて『竹内先輩』と呼んでいる!! 好きな作家は夢枕獏!! 以上だ!!」

「泉桃子です。三年生です。好きな作家は、うーん、なんでも読むかな? 恋愛小説が好きです。よろしくお願いします」

「九条誠です。二年生です。好きな作家は京極夏彦です。ホラー、サスペンス、ミステリが好きです。よろしくお願いします」


先輩達が私を見る。


「水無瀬文香。好きな作家は京極夏彦。よろしくお願いします」


視線は原田へ。


「え、えっと・・・。原田優です。優、と呼んでください。好きな作家は横溝正史先生です。よろしくお願いします」

「久遠寺椿でーす! 好きな作家は芥川龍之介! 純文学しか読みません! よろしくね? 優せーんせ?」


泉さんと九条さんは呆れた顔をした。久遠寺が優君目当てに文芸サークルに入部したのは誰の目に見ても明らかだった。


「僕は優さんのことをなんと呼べばいいのかな?? 優先生?? 優さん?? 優君?? 優公爵??」

「せ、先生だなんてとんでもない! 優君か、優さんで・・・」

「んじゃ優さんだな!! 新入部員の話を聞こうじゃないか!!」

「・・・あっ、僕ですか? あの、僕、実は対人恐怖症で、今は一人で出歩くこともできますが、昔は介助してもらわないと外に出ることができなかったんです」


優君が語り始める。


「その、ですね。僕、複雑な家庭で育ちまして、中学すら碌に通っていなかったんです。今は自立して恋人と同棲していまして、社会復帰の一環と、見聞を広めるために、この大学に通うことを決めたんです。サークルを通して、勉強させてもらえたらと思います。よ、よろしくお願いします」


泉さんと九条さんが拍手をし、竹内がそれに倣ったので、私も手を叩いた。久遠寺も拍手している。


「お忍びなんですね、優さん。それで有名大学ではなく、田舎の大学に?」

「は、はい・・・。もう僕が左白憂だってバレちゃってますけど・・・」

「こーんなド田舎に来るんだもん、おっかしいよねー」


久遠寺がくすくす笑ったが、


「久遠寺さん、貴方もド田舎の大学の在学生でしょ?」


と泉さんに言い返され、顔を真っ赤にしながら黙った。


「うーん、青春したいですなあ!!」


竹内が腕を組み、なにか納得したように言う。


「青春、ですか?」

「サークルの強化合宿、とかさあ??」

「わお! いいですねえ!」


九条さんが乗る。


「大学生なんだから夏季休暇を利用して皆でどっか泊りに行って、文豪のカンヅメの真似と洒落込むのはどうかね!?」

「竹内先輩、話が急すぎますし、貴方、単位大丈夫なんですか?」

「ぐっ・・・」

「いいじゃない、文ちゃん。父に頼んで良さそうな場所を見つけておくから」

「しかしですね九条さん、」

「いーいーのー。医学生の生活って、たった六年しかないのよ? 私が何度も遊びに行ってる、叔父様のお屋敷はどうかな? 近くに山も海もあるから自然と触れ合えるし、昭和の風景が色濃く残る静かな町で、ゆったりと小説を書く。どうかな?」

「いいねえ!! 『九条グループ』のご令嬢は言うことが違う!!」

「は? 九条さんってご令嬢なんですか?」


久遠寺が苛ついて言う。


「裕福な家庭ではあるけど、ご令嬢なんてたいそうなものじゃないよ」

「へえー。そうですかー」


久遠寺は駄目だな、と私は思った。


「誠君、いつも通り弟と妹も連れて行っていいかい?」

「もッちろん! 沢山遊びましょう!」

「ありがとう!! 助かるよ!!」

「え、大学のサークルの強化合宿なのに、弟と妹連れてくるんですか? なんで?」


久遠寺が嫌悪を露わにした。


「面倒見る人が僕意外に居ないからねえ!! この面子で遊ぶ時はいつも連れて来させてもらっているんだ!!」

「優さんと久遠寺さんも、お友達やご家族を連れてきていいですよ?」


久遠寺は唇を尖らせ腕を組み、視線を逸らした。連れて来られる家族も友達も、いや、取り巻きも居ないのだろう。廃部寸前の文芸サークルにいつもの取り巻きを連れてきていないことから、そこまで求心力があるわけではないことがわかる。彼ら彼女らが集まっているのは久遠寺の金なのだろうと容易に想像がついた。


「あ、あの、本当にいいんですか?」

「はい! 遊ぶ時は大勢の方が楽しいので!」

「じゃあ、恋人に相談してみます」


優君は俯き、少し嬉しそうな顔をした。恋人のことが好きで堪らないらしい。


「恋人さんはどんな人なんですか??」

「僕より二つ年上で、職業はカメラマンです」

「おっ!! 芸術家カップルだ!!」

「あー・・・。知ってる人は知ってます、よね?」


優君は私を見た。私は頷く。


「ぼ、僕、実は・・・」

「その前に、カミングアウトしてええか?」

「えっ?」

「私、両性愛者。つまり、バイセクシャル」


優君と久遠寺がぽかんと呆ける。


「男性、女性、両方に魅力を感じる人のことですよ」


事実ではない。人のこころの声が聞こえるので、敢えて人が遠ざかるようにこう言っているだけだ。久遠寺からこころの声が聞こえる。


(うわっ!! サイテー!! クッソキモい!! キモキモキモ!! 私のこともそういう目で見てたわけ!? ありえない!! マジ死んでほしい!! キモキモキモキモキモオオオ!!)


事実、久遠寺は遠ざかってくれた。

優君からは強い意思が伝わってくる。


(僕を庇うためにここまで・・・。僕も言わなきゃ・・・)


私はすー、と息を吸い、はー、と吐いた。


「あの・・・。僕の恋人も、ちょっと特殊でして。男性、なんです。僕の恋人・・・」


久遠寺が目を見開き口を『い』の形にして原田を見た。


「おお!! マジっすか!!」


竹内が言う。


「九条さん、知ってますよね?」

「本のカバーに載ってる著者近影は同性の恋人が撮影したって書いてましたものね」


泉さんと九条さんも頷いた。


「君達そんなところまで読んでるの!? 僕も今度からカバーも読もうかね!! ダハハハハ!!」

「あ、な、なんだ、緊張しちゃった・・・」

「優君、恋人も連れて来たらええよ。私らはそんなこと一切気にせんし、気軽にバカンス楽しむ感じで二人で来たらええわ」

「私も中学からの彼氏、いつも連れてきますから」


泉さんが言う。


「フフッ、大学のサークルの強化合宿って感じじゃなくなっちゃったけど、みーんなで楽しく旅行するのもいいじゃない。無理にとは言いませんから、優さん、ゆっくり考えておいてくださいね」

「はい」

「久遠寺さんはどうします?」

「わ、私、私も行きますよっ!」


おや、意外だ。

『ダイヴ』してみる。


(寝取ってやる!)


それだけ聞こえた。一気に気分が悪くなった。


「優さんはおいくつですか?」

「今年三十八になります」

「恋人さんは二つ上だから、四十かあ・・・」

「自分で言うのもなんですが、いつまで経っても虫取りしてる少年みたいに若々しくて可愛いですよ」

「あらっ、惚気だあ。フフッ・・・」


久遠寺のこころの声が、ひたすらに煩い歓迎会だった。
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