遠いむかしの物語。

文字数 218文字

むかしむかしの物語。
まだ人が人と呼ばれていない頃、
まだ人が手と足を自覚していなかった頃の物語。
あまりにもかなしすぎて、
あまりにも心がかなしすぎて、
泣いて泣いて泣きくれていた頃のこと、
私がわたし自身を知覚できていなかった頃の物語。
あまりにもかなしすぎて、
あまりにも愚かすぎて、
そして、あまりにも私が可哀想すぎて、
言葉もなくしていたような頃の物語。

そんな話が昔にあったのか、
私の愚かな記憶では、今では思い出せもしません、
そんな遠い物語です。
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