第36話 NNWM-14
文字数 1,119文字
改めて、その存在の正面に立ってみて気づいた事があった。
「なるほど、焦印を付けられた頃から……覗かれていたってことですか? 少々その魔力をどこで感じたのか、思い出すのに時間がかかってしまいましたが……」
『中々、トゲのある表現ですね』
意思あるマントが持たせてくれた小瓶の蓋を開けて、聖女様の顔にとても似ている存在に投げつけた。その中身を浴びた途端、ソレは砂のように崩れ落ち……別の存在が姿を現した。
「やはり、盗賊のアジトにいた不死種だったか。力が無効化されたってことは、あのとき戦ったのが分裂体で本体はこちらなんですね。王妃殿下が傀儡のように話されていたということは、自我か魂が入っていない? いや、もしかして……」
ペチュニアも、不死者の本体に手をかざしているのが見えた。
「この保存法に使われている魔力には、馴染みがあります。……そうですね?」
蜘蛛の糸で創られた玉座の奥から、見覚えのある長い鼻が真っ先に見えた。
「まさかの、修復対象かよ……」
「リロドンの修復者が足を運ぶのだから、当然であろう」
「でも、王妃殿下……いえ塔は何時からこの仕組みに加担を?」
「魔法研究機関ゆえの……とだけは言わせていただきます。あなたが表現したように、宗教ではなく神秘の均衡を保つための装置なのです。世界に魔力が円満に循環するためには必要不可欠なのです」
「なるほど、聖女と魔女は光と闇で表裏一体。魔力を大陸に循環させる心臓部分。聖女様が機械の中で保管されたままなのは、魔女が裳抜けの殻みたいな状態になっているのが原因ですか?」
「そうです。そして、その犯人が人の右足を生やした石獣なのです。塔は新種の石獣が生まれたのは、あなたが魔女と呼ぶ存在から盗んだモノが起因だと確信しました。ウチの息子が取り出している様子をご覧になったでしょう?」
王女殿下に言われて、第3王子殿下が石獣の目から青白い紐状のナニかを抜き出すのを思い出した。
「色々な情報が一度に出てくるんで、情報の波に流されてしまいそうですね」
「とは言え、あなたがやる事に変わりはありません。新種の石獣を倒し、海岸線の街への道を切り開く事です。他に何か支援して欲しいことはありますか? できる限り優遇はさせてもらいます。むろん、今回のお茶会の参加費も必要ありませんわ」
思わず、ここにいる全員が王妃殿下へ視線を向ける。抜け殻の不死者でさえ見ているのではないだろうか?
「息子が全額保証しますので」
「母上っ!!?」
「では、王妃殿下。リロドンの修復者殿の協力を得たいのです。脚の調整もしていただきたいので」
2人は無言で頷き合うのが見えた。
「出向費は息子の国家予算から出るので、気にしないでくださいね」
「母上ぇっ!!!??」
「なるほど、焦印を付けられた頃から……覗かれていたってことですか? 少々その魔力をどこで感じたのか、思い出すのに時間がかかってしまいましたが……」
『中々、トゲのある表現ですね』
意思あるマントが持たせてくれた小瓶の蓋を開けて、聖女様の顔にとても似ている存在に投げつけた。その中身を浴びた途端、ソレは砂のように崩れ落ち……別の存在が姿を現した。
「やはり、盗賊のアジトにいた不死種だったか。力が無効化されたってことは、あのとき戦ったのが分裂体で本体はこちらなんですね。王妃殿下が傀儡のように話されていたということは、自我か魂が入っていない? いや、もしかして……」
ペチュニアも、不死者の本体に手をかざしているのが見えた。
「この保存法に使われている魔力には、馴染みがあります。……そうですね?」
蜘蛛の糸で創られた玉座の奥から、見覚えのある長い鼻が真っ先に見えた。
「まさかの、修復対象かよ……」
「リロドンの修復者が足を運ぶのだから、当然であろう」
「でも、王妃殿下……いえ塔は何時からこの仕組みに加担を?」
「魔法研究機関ゆえの……とだけは言わせていただきます。あなたが表現したように、宗教ではなく神秘の均衡を保つための装置なのです。世界に魔力が円満に循環するためには必要不可欠なのです」
「なるほど、聖女と魔女は光と闇で表裏一体。魔力を大陸に循環させる心臓部分。聖女様が機械の中で保管されたままなのは、魔女が裳抜けの殻みたいな状態になっているのが原因ですか?」
「そうです。そして、その犯人が人の右足を生やした石獣なのです。塔は新種の石獣が生まれたのは、あなたが魔女と呼ぶ存在から盗んだモノが起因だと確信しました。ウチの息子が取り出している様子をご覧になったでしょう?」
王女殿下に言われて、第3王子殿下が石獣の目から青白い紐状のナニかを抜き出すのを思い出した。
「色々な情報が一度に出てくるんで、情報の波に流されてしまいそうですね」
「とは言え、あなたがやる事に変わりはありません。新種の石獣を倒し、海岸線の街への道を切り開く事です。他に何か支援して欲しいことはありますか? できる限り優遇はさせてもらいます。むろん、今回のお茶会の参加費も必要ありませんわ」
思わず、ここにいる全員が王妃殿下へ視線を向ける。抜け殻の不死者でさえ見ているのではないだろうか?
「息子が全額保証しますので」
「母上っ!!?」
「では、王妃殿下。リロドンの修復者殿の協力を得たいのです。脚の調整もしていただきたいので」
2人は無言で頷き合うのが見えた。
「出向費は息子の国家予算から出るので、気にしないでくださいね」
「母上ぇっ!!!??」