第13話:諏訪で夏のコンピュータ研究会に参加要請と受諾

文字数 1,730文字

 まだ時間があるというので4人でPC9801F2台とハードディスクとプリンター1台ずつ、キーボード、マウス、モニター2つをハイエースから温泉旅館の10畳の和室に運び込んで、背の低い長机を4つ部屋に持ち込んだ。そして15時前には、全て準備が終わり部屋を出てフロントのソファーで、待つった。

 すると15時過ぎに山梨大学病院の2人の医者が到着。16時過ぎに愛媛の病院の先生2人が到着し、全員そろった。そして、早速、天然温泉に入ってもらい今日の勉強会は19時半から24時までと決めた。18時過ぎから夕食をとってもらい、19時頃からメンバーはあまり、19時15分、全員集合した。その時、池辺さんが、コンピューター研究会、会長の富士川先生から、ご挨拶をおねがしますと言われた。

 富士川先生が立ち上がり、今日は、遠路はるばる、ようこそいらっしゃいましたと言い、日本ではPC9801が、発売され2年となり、アメリカでは、マッキントッシュ512キロバイトと言う機種が発売され、本格的なパーソナルコンピュター時代の幕開けとなった。

 そのコンピューターの性能を生かし、本格的な医療用のデータベースと完成させて、医学と医療技術発展のために寄与したいと言い、開会の挨拶としますと言った。次に、司会の池辺ですと言い、実務的な話になった、今回の発表は3つ、今日は、愛媛の三枝先生の整形外科における先天性股関節脱臼の手術法と成績の因果関係。

 明日は、山梨大学の吉富先生の腰痛症に対するにおける消炎鎮痛剤の効果比較と副作用比較、明後日は、愛媛大学の峰岸先生の習慣性肩関節脱臼の手術手技の優位性。この3つの発表となりますと言った。それでは、今晩の発表者の三枝先生お願いしますと言われ、立って話すのはしんどいので、座りながら、発表しますと言った。

 先天性股関節脱臼の代表的手術には、主に3種類があります。その患者さんのカルテのデータを100人分をデータベース化して、その手術手技の優位性について検討しましたと言った。それでは、データをお見せしますというと、池辺がパソコンを操作した。これは、データベースⅡですと語った。

 ここには、患者さんの年齢、性別、体重、肥満度、歩行の改善度、手術方法、服用の医薬品の7項目を書き込んだデータベースですと言った。そして、歩行の改善度を4段階に分類して、一番改善度の良い4の患者さんだけを抽出して、その傾向を見たものが、次のデータベースです。

 該当する患者さんの数は24名。そこで手術手技を分類すると20名が、寛骨臼回転骨切り術だった。その事から先天性股関節脱臼が一番良い手術ではないかと結論づけられるのではないかと結論づけますと発表した。それに対して御意見は、ありませんかと池辺さんが聞いても質問、意見が出なくて池辺が困っていた。すると富士川先生が手を上げた。

最初に手術したことがない、私が意見を述べるのは、恐縮ですがと前置きして先天性股関節脱臼の患者さんは、それ程多くないのは存じ上げてますが。総症例数100例では、客観性に欠けるのではないでしょうかと言い、また、同じファクターが、2つ先天性股関節脱臼で寛骨臼回転骨切り術が良いと言うのは、いささか短絡的だと考えますといった。

それに対して、吉富先生も、富士川先生の言うことに賛成ですと言った。それを聞いた、池辺さんが、司会者で意見を述べるのは、いかがなものかと思われるかも知れませんが、医療の判定にデータベースを活用の第一回では、仕方ないでしょと言った。これからの課題と言うことにすべきですと言った。

 これからも、コンピューターを医療技術発展のために応用するための第一歩としては、問題点を明らかにしたという点では素晴らしいと言い、賞賛されるべきですというと、会場の雰囲気がガラッと変わり、そうかも知れない、試行錯誤の最初だものねと言う人が多くなった。

 それを聞き、富士川先生が、三枝先生の挑戦に拍手を送るべきかも知れませんと言うと、意見が一致した。その議論が終わったのだが21時半だった。その後は、議論よりも2台のパソコンを使って、データベースⅡの勉強会になり、一台を富士川先生が、もう一台と池辺さんが使った。
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