文字数 951文字

サラ、そろそろ帰るわよ

猫さんたちにご挨拶をして。
うん! 今日はとっても楽しかった!
猫さんたち、ありがとう!
いってらっしゃいませ、お嬢様~♪

はにの似顔絵も描いてくれて、ありがとうだにゃー
いってらっしゃいませ、サ……お嬢様。
じーっ……
……なにか?
ううん、また来るねっ!
良かったですね、喜んでくれて!
……ありがとう。
皆のサポートのおかげで、サラを喜ばせることが出来た。

まさかサラに会えるだなんて、夢にも思っていなかった。
きっと猫の神様が、アネゴの願いを叶えてくれたんですよ。
……お前たちは、自分が恩返しをしたいという人間に会うことが出来たのか?

そのためにここで働いているのだろう。
いいえ、違いますよ。

それはもちろん、ご主人様に会えたら嬉しいけれど……この先ずっと会えなかったとしても、はにたちの仕事は変わりません。
この絶対領域は、私たちが人間の姿になれる唯一の場所です。

恩返しをしたくても出来ない、たくさんの猫たちの代わりに、私たちはここにいるのです。
絶対領域に来てくれる人間は、誰かにとってのご主人様やお嬢様ですからね。

私たちも精一杯におもてなしをして、感謝の気持ちを伝えていきたいと思うのです。
一期一会になるかもしれない。

だからこそ、ひとつひとつの出会いを大切にしていかないといけません。
人間に恩返しができない、多くの猫たちの代わりに……。

……そうか、そういうことだったのか。
今日からアネゴも、絶対領域のメンバーですにゃん!

また明日からがんばりましょー!
……いや。

俺はもう二度と、絶対領域に来ることはない。
ど、どうしてですか?

失敗もありましたけれど、最後は楽しくお仕事できていたじゃないですか。
ふふっ……サラに言われてしまったからな。

「タマはそんな可愛い服を着ない」って。

俺はあの子の中のヒーローなんだ。

正体がバレて幻滅されてしまう前に、退散することにするよ。
俺は俺のやり方で、あの子に恩返しをすることにしよう。

またカラスにイジメられないように、陰から見守り続けることにする。
アネゴ……
世話になった。

これからも世界中の猫たちの代わりに、人間たちへの恩返しを続けてくれ。
ふえーん!

たった一日だったけど、アネゴとお仕事できて楽しかったにゃー!!
押忍!

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