暑い

文字数 515文字

昼が嫌いだ。肌をさらけ出しても自分が惨めになるだけだから、私は露出の多い服は着ない。なおさら、太陽が照りつける時間帯に、厚着で外に出るエネルギーは持ち合わせていない。

夜が嫌いだ。昼間、人が行き交う中で育てられた熱気だけを残して、私を置き去りにするから。
こんなにジメジメしててうざったいのに、沢山の人に干渉した熱気は、私にはない何かを持ってる気がしてならない。

だけど私は夜、外に出る。1日中家にいると、不安になるからだ。
来年、来月、明日、正体のない化け物に追われ、エアコンを付けているのに汗ばむ。
親からは心配ならまだいいものの、期待のメールばかり。
「孫の顔が早く見たいわ。」と形容し難い、謎の絵文字とともに送り付けてくる。

私はどうならなければいけないのだろう。何になりたかったのだろう。いつからか、何もかも見失った。

本当は考えなくてはならない何もかもを、頭から捨てるための外出。現実逃避をするために外に出る。

外に出ると入っても少し散歩をし、頭を冷やすくらいしかしない。
こんな時期に長時間外にいたら、余計ストレスを感じそうで。
家に帰ると、さっきまでの蒸し暑さからは開放され、つかの間の幸せが訪れた後、
現実に引き戻され、明日に囚われる。
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