第3話  追加の話 2

文字数 1,034文字

「鉄女」
私は頭の中でその意味を考える。

(意味その1)文字通り鉄で出来た女。言って置くけれど、あなたもそうよ。あなたなんて鉄仮面じゃない。私の神経は鋼鉄製よ。でもそれはすごく細くてしなやかで繊細なのよ。細いけれど決して折れないの。

(意味その2) 私が鉄道大好き女子だって事を暗に当て擦っている・・・?
私の趣味は「乗り鉄」。誰も知らないはずなのに・・・。嫌だ。檜扇がしゃべったんじゃないでしょうね。・・・まさか!お前の事は何でもお見通しだよという警告??
私は疑り深い目でミレア子の背中を見る。

ミーティングルームに通され、自己紹介をして椅子に座る。
施設長、チーフマネージャー、当事者の職員、そして私。
私はテーブルに置かれていた資料に目を通した。

事案E3 についての報告書
日時 〇月〇日〇曜日 15時20分
場所 百人一首コーナー
関係者 R子(△小学校4年生)T子(◇小学校4年生)その他多数。
    担当はH指導員(24歳)
トラブルの内容と事後処理
R子とT子で札の取り合いになり、H指導員の注意を聞かず、罵詈雑言の応酬から殴り合いに発展。蹴られたR子がキレて並べた札を蹴散らしたため、その他の子供達が怒って乱闘に。職員全員で子供達を取り押さえ、施設長とチーフマネージャーで指導。幸い怪我人は無し。R子とT子の保護者に連絡済。

百人一首コーナーは暫く閉鎖。理由をホームページに記載済み。

私は顔を上げて言った。
「ずっと閉鎖でいいんじゃないですか?ルールを守れないのだから。百人一首をやる資格無いですよ」
「でも、保護者から再開しないことに対するクレームと・・・それから指導員に対して指導力不足というクレームが・・・」
チーフマネージャーは言った。
「分かりました。指導は2人体制で行ってください。管理職の方、お願いしますね。再開日はお任せ致します。次からはルールを徹底してください。守らない場合は即退出で」
「H指導員は先輩指導員の動きや言葉をよく見て学習してください。・・・私共も時々様子を見に立ち寄らせて頂きます」
私はそう言った。

施設長とチーフマネージャーは目を見合わせた。
サブのミレア子は担当を持っているから、どちらかがH指導員に付かなくてはならない。
仕事が増えるなあという顔で私を見る。
そんな事を言っても仕方ないですねという顔で私も見返す。
「指導員の増加を上に提案します。多分通ると思います。募集はこちらで手配します。それまでは何とか宜しくお願い致します」
私はそう言って頭を下げた。





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