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文字数 659文字

 その時気が付いた!
汗の匂いがしたのだ。女の匂いだ!
シャンプーや石鹸の匂いではない。
体臭がするのだ!
 私はこれも幻覚ではないのか?!
飢えた本能がそこまで幻覚を起こさせるのか?と一言も喋らず、じーっと女を見ていた。
すると、

「大丈夫か?助けが遅れた。生きている様だな何を呆けている?」

と言った。口臭が僅かに香った。
嫌な匂いでは無かった。
 何故だか、言葉が見付からなかった。
そして、言えたのは、

「本物か?」

だった。
 すると女は、私の組んでいた脚を蹴った。
ガタンと脚が音を立てて床に落ちた。
 ハッとして私は立ち上がった。
聞きたい事が山程あった。
 だが女は、辺りをキョロキョロ伺っていた。
そして、

「食事か、有り難い。この2日何も食べてない」

と、私が食べようと温めた缶詰をガツガツ食らいだした。そして、冷蔵庫のペットボトルの水を取ると、ダイニングテーブルの椅子に座り飲みだした。
 私は兎に角、質問を纏める事で精一杯だった。ひょっとしたらハードな幻覚かも知れない。それでも良かった。
 消えてしまう前に話がしたかった。

「ここは何処だ?何があった?」

 そうだそれで良い。私は彼女の返事を待った。彼女は食べながら振り向きもせずに、

「宇宙人の侵略。ここはアリゾナ。
ああ、宇宙人じゃなかった異星人だ。
科学者は、そこのところは変に拘る。
我々も宇宙人だとな」

 イラッとした。

「そんな事どうでも良い!君は何者だ!?
自衛隊か?」

 女はその言葉に顔を上げると冷蔵庫を見た。
まだ食べ足りない様だ、私は缶詰を有るだけ持ってきて、飲み物もスープも持ってきた。
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