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文字数 660文字

 この手の幻聴は既に2週間は続いている。
また始まったかと思った。
最初は虫か何かがぶつかったのかと思ったが。
 今は冬、この場所は昼間は比較的暖かいが、やはり朝晩の冷え込みは凄かった。
虫のいる季節ではない。
 ならば木の材質の柱などが膨張して、または縮小してはぜる音なのだろうか?
いやポルターガイスト現象かもな。
 そんな事を思って、一人笑っていた。

 昔、高校生の時に友達に教わったSF小説を思い出した。
 彼曰く、世界一短いSF小説
『世界でたった一人の男が部屋にいた。すると扉をノックする音が』
私は思い出し笑いで、ニヤニヤしていた。
 だが今日に限ってノックの音は止まない。
私が立ち上がろうとしたら音がやんだ。
私は心が病んでいる。そう思えた。

 すると、ガチャリと玄関のドアが開いた。
誰かがいつ助けに来ても良いように、鍵をかけてはいなかったのだ。
泥棒でも大歓迎な気分だった。
 ドアに向かって振り向くと、そこには迷彩服を着た女が立っていた。
ゲームかよ、私はこの幻覚に驚いていた。
遂に幻覚まで見るようになったとはな。
 女はソファーに座り込み、テレビでDVDを観ている私を見付けると靴も脱がずに、ズカズカ近付いてきた。

 このマンションはアメリカナイズされていて靴履きで生活出来るが。私はフカフカの絨毯やカーペットを汚したくなくて、靴は脱いで生活していた。その方が気持ちが良かったからだ。
 私は思った、そこまで女に飢えていたかな?
私は何の感動もせずに女を見ていた。
女は私に銃を構えていたが、私がなんの抵抗もしないと分かると、銃口を下ろした。

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