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文字数 724文字

 私は何かの事件が起きたと仮説を立てた。
酒に酔っ払った私を、誰かがここまで連れて来てくれた。そう考えるのが1番自然だった。
そして鎮静剤でも射たれたのだろう。
ならば記憶が無いのも頷けた。
 では他の人は?これだけは分からなかった。
何かの実験?それにしては何の実験だ。
人は孤独にどれだけ耐えられるか?
それなら無人島の方が、まだ分かりやすい。
 突然1人だけ隔離されたら、人はどんな反応を示すのか?
その実験なら1週間前に終わっているだろう。

 もう3週間も経つのだ。実験ではない。
何故なら隠しカメラも何も無いからだ。
私は、それは結構早い段階で調べ尽くした。
まさかドッキリとは思わなかったが。
酔った私を同僚が連れて来て閉じ込めて、笑って見ていると言う、ハッピーなエンディングを何度も期待したからだ。
 残念ながらドッキリではなかった。

 さて3週間も人と会わず、会話もなくテレビも携帯も繋がらず。私はどう生活していたかと言うと。殆どDVDの映画を観て過ごしていた。飽きれば散歩がてら外を出歩いた。
まったく変わりはなかった。
DVDは何故か100枚以上あった。
 この世の終わり的な物は無かったし、宇宙人襲来的な物も無かった。
どれもハッピーエンドで幸せな物語だった。
恋愛物も多かったしアニメもあった。

 私は退屈凌ぎに、それを観て時には家庭的な物語に涙を流したりしていた。
最早、精神的には限界ではないのか?
 そう思い、私はここを脱出して、他所へ行く準備を始めた。
地下倉庫には、リュックとバックが大量にあったからだ。何にしても、発電機の燃料が切れれば電気は止まる。
 今は12月、夜暖房が無ければ寒くて寝られないであろう。
ここで凍えて死ぬよりは、何かをやって死ぬべきだと思った。
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