第34話 かめはめ波

文字数 492文字

かめはめ波が撃てたらなぁ

恐らくある一定の年齢以上の人なら誰でも一度はそんな妄想をしたことがあるだろう。そしてそんな妄想の中の数回に一度は実際に自分でかめはめ波の構えを、そしてそれに合わせて「か」「め」「は」「め」「波」と唱えてみたことがあるだろう。

あの時の孫悟空のように。

そしてそんな妄想をする時は決まって楽しい気持ちになれるはずだ。
その瞬間だけは目の前の辛い現実や暗い気持ちやあと数時間後に始まる定期試験や仕事のことを忘れられているはずだ。

辛いことがあった。
それはとてもとても遠くで起きたことだったけど同時にとてもとても近くで感じることだった。

こんな時は本棚の奥の奥のほうにしまわれていた宝物達を引っ張りだして確かめてみるのだ。

正しいかめはめ波の撃ち方ってやつを。

意外とあの挙動と言葉のリズムを合わせるのは難しい。

もういつついたかもわからない年季の入ったしみがつき変色し始めたページをめくっていく。

いつもは笑顔にしかならないはずなのに今はそうじゃなかった。

間違いなく今までの自分を作ってくれたしこれからの自分の礎にもなっていくはずだ。

ありがとうございました。

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